鶴岡市・現状と課題(上)人口減少 市長選10月3日告示

2021/9/24 10:42
田植えを体験する鶴岡南高山添校の生徒たち。少子化の影響で、市内では高校や小学校の再編が進んだ=今年5月、鶴岡市

 任期満了に伴う鶴岡市長選(10月3日告示、同10日投開票)は2期目を目指す現職皆川治氏(46)=森片=と、前県議の新人佐藤聡氏(53)=茨新田=による一騎打ちの公算が大きくなっている。新型コロナウイルスが暮らしにさまざまな影響を及ぼす中、人口減少問題への対応や産業振興など市の発展に向けた施策の重要性は増している。市政の現状と課題を探る。

若者流出ストップ 雇用・就農、支援策が鍵

 「最後の入学者の名に恥じぬよう精いっぱい、悔いのないように過ごす」。2019年4月、新入生代表の生徒が力強くあいさつした。櫛引地域にある鶴岡南高山添校は21年度で閉校する。最後の学校行事、閉校式典に向けた活動―。閉校を意識しながら、生徒たちはこの2年半励んできた。

 少子化で児童生徒が減少する中、市内では学校の再編が進んだ。小学校はこの10年間に14校が閉校し、現在は26校。子どもの教育環境を守るための適正化だが、人口減少の実態を市民に印象づけた。

 今年8月末現在の市の人口は12万2680人。11年3月末から約1万5千人の減少で、毎年約1500人ペースで人口規模が縮小していることになる。旧市内に比べ、旧町村地域の減少割合が大きい。

 懸念されるのは地域社会・経済を支える生産年齢人口(15~64歳)の減少だ。同月末に約6万5千人で、全体の約5割にとどまる。

 県がまとめた高校卒業者の県内就職の推移では、今年3月の県内定着率は鶴岡公共職業安定所管内で74.5%。県全体の81.2%を約7ポイント下回っており、若者の流出傾向に歯止めがかからない。

 19年度に市は高校生や保護者を対象に意識調査を行っている。高校生・保護者ともに8割超が地元への愛着を示したが、高校生の過半数が「地元就職を希望しない」とする結果が出た。

 理由に挙げたのは▽都会の利便性の高さ▽地元に就職先が少ない―などの認識だった。一方、地元就職の検討材料としては企業情報の豊富さや奨学金の返済支援が重要視された。進路希望は進学が約6割で、女子の比率が高く、地域外への転出傾向が強く表れた。

 こうした視点からの働き掛けは、若者の地元回帰につながる一つの道筋と言えそうだ。

 市は本年度、若者のUターンを後押しするための奨学金返済支援制度を新設した。昨年度は農業の担い手の確保へ、市立農業経営者育成学校「SEADS(シーズ)」を開校。慶応大先端生命科学研究所を中核とする新産業創造の拠点・鶴岡サイエンスパークは約560人の雇用を生み出し、地方のチャンスをアピールしている。

 「第2期市まち・ひと・しごと創生総合戦略」で、市は目指すべき将来の方向として中都市人口10万人の維持を掲げた。移住・定住の促進、雇用の創出、街の魅力向上―。コロナ禍で「東京一極集中」是正への関心が高まる中、自治体間の競争もなお過熱することが予想される。時代のうねりをいかに見極め、かじ取りしていくのか。持続可能な地域社会の実現に向け、市政トップの手腕が問われる。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]