留守電啓発、お巡りさん歩く歩く 県警、高齢者世帯への巡回強化

2021/9/20 12:15
県警は高齢者宅への巡回連絡を強化している。留守番電話の常時設定や交通事故防止、荒天時の早期避難などを呼び掛けている=山形市

 交番や駐在所で地域の安全を守る警察官の重要な任務の一つが、受け持ちの世帯や事業所を回り、犯罪被害や交通事故防止、荒天時の早期避難などを呼び掛ける巡回連絡だ。新型コロナウイルス禍で昨年から思うような活動ができない中、特殊詐欺(うそ電話詐欺)の前兆電話(アポ電)は後を絶たず、県警は高齢者世帯を中心に巡回連絡活動を強化している。

 山形市の山形大小白川キャンパス近くの閑静な住宅街に、山形署あこや交番の所長・笹由喜警部補(35)と、昨年9月に配属された土屋純奈巡査(24)の姿があった。「こんにちは、あこや交番でした~」。2人が民家の呼び鈴を鳴らす。顔を出したのは70代女性。土屋巡査が固定電話の留守番電話設定や家族構成などを確認すると、女性は「この前、来てくれてから、また設定するようになったのよ」と答えた。

 笹警部補は「留守電に切り替わってから受話器を取ってくださいね」「不審なことがあったらすぐに交番に連絡を」と優しく語り掛ける。「暑いけど頑張ってね」と2人を見送った女性は「交番の方が時々、回ってきてもらえるから安心感がある」と話した。

 県警が留守電設定を推進するのは、犯行グループが声を残すことを嫌うためだ。だます手口として金融機関や市町村の職員、警察官に成りすましてキャッシュカードの有無や暗証番号、預金額を聞き出す。電話に出てしまうと相手のペースになり冷静な判断ができない恐れがある。

 県警生活安全企画課と地域課によると、県内の高齢者世帯は約22万世帯あり、今年5月末時点で77%に当たる約17万世帯が留守電を設定している。ただ、一度設定しても「電話をかけてきた知り合いに悪い」「留守電になるまで待つのが不便」などの理由で解除する人も少なくない。今年は8月末までに12人が特殊詐欺被害に遭い、7人が高齢者だった。電話で被害に遭った高齢者は6人で全員が留守電ではなかった。

 昨年1月以降、一度も警察官が訪問できていない高齢者宅は県内に約4万2千世帯あり、県警は来年3月までお年寄りの元に集中的に足を運ぶ。詐欺被害防止だけでなく反射材活用による交通事故防止、迷子・高齢者を保護した場合や事件事故災害時に連絡を取るために役立てる「巡回連絡カード」の作成への協力をお願いする。

 新型コロナ禍でゆっくりと交流できる状況ではないが、約1300世帯・事業所を受け持つ土屋巡査は「チラシなどを使って詐欺の手口を分かりやすく伝えたい」と表情を引き締める。笹警部補は「受け持ちの方に名前と顔を覚えてもらい、何かあれば電話をもらえる“かかりつけお巡りさん”になれれば」と語った。

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