新型コロナの死者情報、分かれる開示 年代や基礎疾患、東北の状況

2021/9/18 12:17

 新型コロナウイルスに感染し、死亡した人の年代別内訳について、県がようやく公表に踏み切った。遺族感情への配慮はもちろん重要だが、年代やワクチン接種・基礎疾患の有無などの情報開示は県民への注意喚起につながり、重症化や感染リスクの低減に結び付くことが期待される。他県の状況を探った。

 県は15日、死者の年代別内訳のほか、第5波(7月27日~)に限った年代別内訳とワクチン接種の状況を発表した。県内の累計死者数は同日現在で54人に上り、県内で初めて死者が出た昨年7月から1年以上経過した後の公表となった。基礎疾患の有無や性別は明らかにしていない。

 県はこのタイミングについて「統計的な傾向を示すため(死者数)50人程度を一つの区切りに公表する考えだった」と説明。今後、死者が5人増えた段階を目安に年代別内訳を随時公表する予定という。

 山形新聞の報道に外部有識者が提言する「山形新聞報道審査会」は新型コロナの死者の年代に関し、全ての委員が「公表すべき」との見解で一致している。

 各県の対応はどうか。青森県は東北で最も公表範囲が広く、原則的に▽年代▽性別▽死亡日▽居住エリア(保健所の管轄エリア)―を明らかにしている。基礎疾患の有無は明らかにしていない。

 感染者、死亡者数ともに本県と近い状況の岩手県は、年代(65歳以上か64歳以下か)や基礎疾患の有無は報道機関の取材に答え明らかにしている。年代別内訳はある程度人数がまとまった段階で何度か公表してきた。担当者は「詳細に発表すると遺族側が慎重な姿勢を示す恐れもあり、バランスが難しい」と語る。

 宮城、福島両県の公表は基本的に年代、性別のみで、基礎疾患の有無には言及しない。死亡日に関し、福島県は遺族への確認などでタイムリーに公表できない場合もあり「前日までに」などの形で出している。

 東北で死者が最少の秋田県は人数と保健所から死亡報告があった日時のみ公表し、その後の取材に年代(65歳以上か64歳以下か)や基礎疾患の有無を答える。担当者は「現段階では、日々の感染者の年代公表をもって注意喚起は図られているとの認識」とした。

具体性重視

 一方、長野県(15日現在の死者数95人)は▽性別▽年代▽居住市町村▽基礎疾患の有無▽死亡日―の5項目を基本に、遺族の了解が得られた範囲で発表している。公表できなかった項目については、ある程度数が増えた段階で統計として積み上げて明らかにする。特に基礎疾患は呼吸器疾患や心血管疾患など目立つものを示しており、担当者は「亡くなった人にどんな疾患があったか、具体的にイメージしてもらうことが死亡リスクを低減する上で重要」と強調する。

 厚生労働省は年代や基礎疾患などの公表について各都道府県の判断に委ねている。山形大医学部の今田恒夫教授(公衆衛生学)は「公衆衛生の観点では、個人の特定を避けた上で、あらゆるデータを示すことが基本。知ることで対策を取りやすくなる」と指摘。「情報が少ないと疑心暗鬼になる。年代や性別、基礎疾患は危険性を評価する上で大事な指標で、ある程度人数がまとまった段階で開示した方がいい」と話した。

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