クラシックギタリスト福田さん、庄内に拠点移し 「一から始めるような喜び」

2021/9/17 23:05
東京から庄内町に活動拠点を移した世界的ギタリストの福田進一さん

 世界的に活躍するクラシックギタリスト福田進一さん(65)が今年から、拠点を東京都から庄内町に変えて活動している。かつて同町で開かれていた「庄内国際ギターフェスティバル(ギターフェス)」との縁に導かれての移住。新型コロナウイルスの影響で音楽活動が制限される中、「また一から始めるような喜びがある」と気持ちを新たにしている。

 昨年2月、横浜市でレコーディングをしていたころ、近くに停泊していたクルーズ船に異変があった。新型コロナウイルスの集団感染が出た「ダイヤモンド・プリンセス」だった。感染は全国的に拡大。予定していた演奏会は立て続けに中止が決まった。

 時を同じくして、妻華恵さんの父が急病で倒れたとの連絡が入った。「音楽はどこにいてもできるし、ここらで一休みしてもいいかな」。同年12月、華恵さんの実家がある同町吉方に居を移した。

 町との縁は2005年、響ホールで開催された「ギターフェス」に始まる。県内のコンサートでの福田さんの演奏に感銘を受けた同町のギターファン菅原久也さん(故人)が実行委員会をつくり、開催に向け尽力。福田さんが音楽監督を務めた。プロを目指す若者対象の公開セミナーやコンサートなどを展開し、全国から参加者が訪れた。実行委メンバーだった華恵さんとの縁にも恵まれた。

 町での暮らしは「都会の空気を吸い続けるより、ずっとすがすがしい」と、晴れやかに語る。人生で初めてという階段のない平屋での生活。朝には愛犬の散歩をし、地元の農産物を味わうことができる。

 以前は年間十数回、海外ツアーに訪れることもあった。次から次に新しいプログラムを組み、演奏スケジュールをこなした。同町では楽譜を書き、音楽を聞くゆとりが増えた。フリーマーケットアプリ運営の「メルカリ」がウェブ上で今春開催した「メルカリコンサート ギターオーディション」で審査委員長を務めた際には庄内平野や玉簾の滝(酒田市)で撮影したミュージックビデオを寄せた。

 一方で、コロナ禍で演奏環境は様変わりしたままだ。すかすかの座席、演奏が終わっても「ブラボー」の声はない。「舞台芸術としての音楽は相当足を引っ張られている」。オンラインでの演奏配信も増えているが「会場で空気の振動を感じ、音のシャワーを浴びることが大事。一日も早くその環境が戻ってほしい」と願った。

【略歴】ふくだ・しんいちさんは1981(昭和56)年にパリ国際ギターコンクールでグランプリに輝き、以後、国内外でソロリサイタルを開催しているほか、主要オーケストラとの協演を重ねる。2019年公開の福山雅治さん主演映画「マチネの終わりに」ではクラシックギター監修を担当した。国内外の大学で客員教授も務めている。

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