小選挙区制導入25年~政治はいま(下) 政治と有権者の距離感

2021/9/17 13:31

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 国政選挙のたびに「政治とカネ」の議論が浮上する。森友・加計学園問題をはじめ、有権者が目にしてきた根深い構造は、政治への諦念や期待に応えてくれないとの挫折を生み出している。政権への不満は、安倍晋三前首相を引き継いだ菅義偉政権の退陣へとつながったといえる。

 元知事の高橋和雄(91)=山形市、元県議で東根市長の土田正剛(77)=東根市、元県議の後藤源(82)=米沢市、同じく阿部昇司(70)=鶴岡市=の4氏に見解を聞いた。

 それぞれが政治不信の要因と「政治とカネ」の問題が密接に絡んでいるとの認識を示す。高橋氏は「有権者の政治離れの理由に、大いに挙げられる」と断言。生活の糧を得るために「政治に関心を向けるいとまがない」というかつての無関心と、政治不信などに通じるいまの無関心では、意味合いが異なると続ける。

 後藤氏は、相手の心中を推し量る「忖度(そんたく)」が否定的な意味に取られるほど、政治が乱れていると解説する。「われわれの手の届かないところで勝手なことをやっているとの思いが、不満の表れになっている」。阿部氏は「癒着や不適切な出来事に対し、きちんとした説明、国民が理解できるような伝え方をしていない。ごまかしでは、政治から離れたままだ」と嘆く。

 有権者が政治と距離を置く背景は、不信だけではないという。土田氏は「身の回りにある政治課題への意識が薄らいできた」と見る。戦後復興から高度成長期にかけての社会資本整備、「一億総中流」と称された生活水準の向上が「より身近な要望、より便利な生活」へとシフトし「いい意味で政治に依存しなくなった」と捉える。

 阿部氏は地方議会の担い手不足が政治離れの一つの現象とし「政治は変わらないとの思いが、議員にならなくてもいい、別の仕事でいい、となっている」。後藤氏は生活保護や介護保険制度などのセーフティーネット、奨学金制度などが一定水準で整っているとし「かつての要望や不満が、ある程度の満足に変わってきている」と見る。この点も政治との関わり合いが薄れた理由だとする。

 政治離れの潮流は続くのか。新型コロナウイルスの出現で国民は日常生活を奪われ、自制と自粛の生活を続けている。命と健康の危険にさらされ、経済活動の停滞で家計は苦しむ。

 コロナ禍は政治と有権者との距離を縮め、信頼を取り戻すきっかけを与えている。土田氏はそう捉える。「自分たちの生活に直接関係し、災害に匹敵する。無関心ではいられない」。さらに、官僚の萎縮が政治の劣化した原因の一つだとし「政治家の決断と官僚の支えとが相まって、政治は機能する」と官邸主導の改善を求める。

 阿部氏は「国が直接、国民に現金を配らなければならないほど、社会も経済も疲弊している。その現金もすぐになくなってしまう」。高橋氏は有権者が政治を考える時期だとし「法律、制度、社会の骨格をつくるのが政治だ」と指摘。後藤氏は「地域のコミュニティーが壊れてきたからこそ、政治と疎遠ではいけない」と警鐘を鳴らす。

 コロナ禍を契機に、阿部氏は、政治や行政の在り方自体を見つめ直すべきだと説く。それは、国や県に対する陳情・要望活動だ。「大きな声が通り、小さな声が追いやられる。改めなければ社会は根本的に変わらず、民主主義は成熟しない」。コロナ禍のいま、政治や行政が自ら動き、隠れた部分に光を届けることで、政治離れや政治不信から抜け出せると力説する。

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