配分格差~県内自治体のワクチンの現実(上) 若年層分が足りない

2021/9/14 09:12
新型コロナウイルスのワクチンを保存する山形市保健所の担当者=山形市

 新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、都市部を中心とした県内の自治体間で国からのワクチン受給量に著しい差が生じている。いまだ「ワクチン対象年齢人口の8割分」とした国の目標分に達していない自治体もある。医療従事者などを除く、一般市民を対象としたワクチン接種が始まって半年が経過する中、配分を巡る問題点を探った。

国目標「対象人口の8割」感染防止に不十分

 新型コロナウイルスワクチンの配分を巡り、新たな問題として浮上しているのが若年層のワクチン不足だ。ネックとなっているのが国が設けた「8割」の目標値。先行して接種が始まった高齢者層で高い予防意識が奏功し、接種率が9割強に達した一方で、若年層への早期接種のためには目標値の見直しが急務となっている。「これだけ感染が広まれば予想できたこと」と、国の見通しの甘さを指摘する自治体関係者は多い。「早急に枠を上方修正してほしい」と訴えの声が上がっていた。

 高齢者のワクチン接種が高い水準で推移していることで今夏以降、県内では65歳以上の感染が激減した。重症化しやすい年代の感染が抑えられ、死者数の抑制に大きな効果があった。一方で、ワクチン接種が後発となった64歳以下の感染が急増。8月21日発表分では1日当たりの感染者が過去最多の69人に達し、うち66人が59歳以下だった。

苦肉の策「調整枠」

 「このままだと、若年層の接種が遅れ、感染抑止に歯止めがかからない」。独自集計で配分が基本枠分(対象年齢人口の8割)に達した山形市のワクチン担当者は頭を抱えた。若年層のワクチン接種はようやく始まったばかり。早急に基本枠が拡大でもされなければ、殺到する予約に応えられない。国からのワクチン配分予定表に目を向けた。基本枠の供給はゼロ。「当面はこれでしのぐしかない」。苦肉の策に打って出た。「調整枠」の活用だ。

 調整枠はワクチン接種のスピードが速い自治体を対象に、基本枠を超える分に当てる、いわば「上乗せ分」として設けられた経緯がある。感染力が高いデルタ株が流行する中、以前から医療分野の専門家は集団免疫を獲得するため、接種率を9割近くまで引き上げる必要性を指摘していた。高齢者の接種希望者が国の想定を超えて増えたのも、こうしたことが背景にある。

困惑「1箱か…」

 9月1日、県は同月後半分の調整枠について市町村への配分状況を明らかにした。本県に割り当てられたワクチン数は35箱。県は「市町村への均等配分を重視し、供給量が8割に達していない自治体に優先配分する」との方針で、8割に達していない酒田市に11箱、鶴岡市に9箱と決めた。山形市には1箱配分した。酒田市の担当者は「来るべきものがようやく配分された」。山形市の担当者は困惑した。「1箱(約585人分)か…」

 8割に達していない自治体がある以上、「全体的な調整は必要と分かる」と山形市の佐藤孝弘市長は2日の定例会見で県の決定に理解を示した。一方で、妊婦を対象とした接種、来春の受験シーズンをにらんで中学3年生や高校3年生などを対象とした受験生枠の新設など、接種対象が日を追うごとに拡大していることに危機感も示した。

 受験生枠や妊婦枠は本来なら基本枠でカバーされる対象だ。早期の集団免疫獲得のために「上乗せ分」として使用されるべき調整枠分が基本枠分の「穴埋め」に使われているとの認識の佐藤市長は「全国一律で『8割接種』ではなく、各地の状況に応じた配分をお願いしたい」と国に訴えた。

 河野太郎行政改革担当相は8日になって、ファイザー製ワクチンの9~10月配分量を全国で116万回分を増やすと発表した。対象者の9割が2回接種できる量に相当するという。この情報に多くのワクチン担当者は、ほっとした表情を見せたものの、すぐに現実を直視した。

 結局は配分ペースの差で早く9割に達する市町村と、遅れる市町村が出てくる可能性があるからだ。「いつ、どのぐらい本県に入ってくるか、そして、県から各市町村にどう配分されるか全く分からない」。一抹の不安を口にした。

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