一歩近づき、地元に喜び 遊佐風力、漁業との協調不可欠

2021/9/14 08:30

 洋上風力発電の事業化に向けた動きが進む本県の遊佐沖について、国土交通省と経済産業省は13日、より具体的な検討を進めるべき「有望な区域」に選定したと公表した。事業開始に必要な3段階のうち、現在は1段階目の「一定の準備段階に進んでいる区域」だが、一つ上の段階に進むことになる。国は今後、県や地元関係者による法定協議会を設置する。

 洋上風力発電の事業化への動きが加速する遊佐沖が「有望区域」入りし、これまで、導入に向けて活動してきた地元関係者は「これで一歩近づいた」と喜びを語った。一方、事業化が実現した場合、陸上よりも大きな風車が海に並ぶことが想定され、今後、地元住民や漁業関係者らと協調関係を保ちながら、十分な説明を尽くし、議論や調査、手続きを進めることを求めた。

 遊佐沖での洋上風力発電については、2018年に県や沿岸市町、漁業、自然保護関係などの関係者が「県地域協調型洋上風力発電研究・検討会議」を設立。環境、漁業などに配慮し、事業化の可能性を探ってきた。県は20年2月、国に法定協議会の設置を要請。当初は20年度の有望区域入りを目指したが、送電環境などの状況から「準備段階区域」にとどまっていた。

 洋上での風車建設、運転開始には有望区域入り後、法定協議会設置から8~10年とされる。次段階の「促進区域」に上がると、事業者公募などが具体的に行われる。遊佐沖では事業開始を見据え、参入を希望する約30社が採算性などを見る事前調査の乱立を避けるため、ボーリングや風況などを共同で調査。全国的には珍しい協調手法で、国も「日本版セントラル方式」として、こうした調査の乱立を防ぐ手法を採用。遊佐沖同様に検討が進む酒田沖で活用する。

 環境影響評価(環境アセスメント)は9事業体が既に開始している。各事業体の現段階の事業計画では、陸上よりも大きな高さ187~325メートルの風車が36~63基並び、最大の想定出力は43万~50万キロワットになる構想だ。地元・遊佐町の時田博機町長は「脱炭素社会に向け、再生可能エネルギー先進地となるべく土台が固まってきた。住民との合意形成をしっかりとして、地域の発展にもつながる洋上風力発電の着実な事業化に向け、取り組みたい」と話した。

洋上風力発電 再生可能エネルギーの一つ。海に設置した巨大な風車で発電し、電気は海底ケーブルを使って陸上に送る。陸上よりも安定した風が吹くため、効率的な発電ができる。英国、ドイツなど欧州各国で導入が加速しており、世界の洋上風力の発電能力で約7割を占める。風車の土台を海底に固定する「着床式」が世界の主流。

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