「我慢の芋煮」人まばら 少人数・時短要請後、初の週末

2021/9/12 11:26
例年は芋煮会を楽しむグループでにぎわう馬見ケ崎川河川敷だが、この日はまばらだった=11日、山形市

 山形の秋の風物詩・芋煮会シーズンを迎えた。新型コロナウイルス感染拡大が収束せず、県からの少人数での開催要請もあって昨年に続き、今年も大人数での芋煮会を我慢する県民が多そうだ。例年であれば家族連れや職場・友人グループでにぎわう山形市の馬見ケ崎川河川敷は11日、人影がまばらだった。関係者からは「コロナで芋煮文化が失われないか」と心配する声も聞かれた。

 県内の感染者増加を受け、県は8月20日~9月12日を感染拡大防止特別集中期間に設定。この日は15日までの延長を決めた。19日の予定だった日本一の芋煮会フェスティバルも2年連続の中止になっている。吉村美栄子知事は今月8日の定例記者会見で芋煮会について「今年だけは何とか我慢してほしい」と述べ、家族以外の友人や職場単位で開く場合は「4人以下で」と呼び掛けた。15日までの特別集中期間延長では新たな要請項目が追加され、芋煮会に関し、感染防止策を徹底した上での少人数、短時間による実施を求めている。

 山形市の馬見ケ崎プール「ジャバ」周辺で昼ごろ、芋煮会やバーベキューをしていたのは8組。芋煮会は2組だけだった。いずれもマスクを着用し、声を抑えて会話をしていた。山形市の30代男性は、芋煮会を経験しないまま県外に転勤する同僚のためにと企画した。「6人だが下見に来た時に人が少なく、安全に開けると判断した。最後に山形の文化である芋煮を食べてほしかった」と語った。サークルの仲間4人で訪れた20代男子大学生は「親睦を深めようと思った。県の要請に従って4人で開いた」と話し、手分けしてこんにゃくやネギを鍋に入れていた。

 中止を決断した人もいる。山形市の自営業の男性(59)は15年以上前から、仙台や関東の仕事仲間やその家族ら約20人を呼んで毎年、大鍋を囲んできた。今年は2年ぶりに9月中旬の実施を計画してきたが、「家族や仲間の健康が第一」と考え、断念した。「普段は電話やメールでしか連絡を取り合わない人とも直接顔を合わせられる貴重な機会だったのだが…」と肩を落とす男性。「最高の肉と日本酒を用意して、来年は盛大に開催したい」と願った。

 食材の販売業者にも影響が出ている。山形市のもとさかや酒店は「手ぶらで芋煮会セット」という河川敷への配達サービスをしているが、荒井康夫社長は「今のところ全く依頼はない。東北ならではの文化が失われていくようだ」と漏らした。

 同市のフードセンターたかき南原店は今年から、少人数での芋煮会を想定した3、4人前セットの取り扱いを始めた。沖田智店長は「今年は家庭で芋煮を食べる機会が増えると思う。注文はあまりないが、これからに期待している」と話していた。

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