妊婦のワクチン優先接種広がる 母子のため、妊娠中期までに

2021/9/10 08:07

 新型コロナウイルスに感染した千葉県の妊婦が入院できず、自宅で早産した赤ちゃんが死亡した問題を受け、県内でも妊婦を対象にしたワクチンの優先接種が広がっている。母体や胎児への影響を懸念し接種に慎重な動きも見られる中、山形市医師会理事で産婦人科医の林淑子医師(林内科・レディースクリニック)にワクチン接種の有効性、母子への影響の有無などについて聞いた。以下は一問一答。

山形市医師会理事・林淑子医師に聞く

妊婦がワクチン接種をすることの有効性について説明する林淑子医師=山形市

■後期感染重症化も

 ―妊婦が新型コロナに感染した場合、特に懸念されることは。

 「おなかの中で赤ちゃんが大きくなる妊娠後期は、母親の横隔膜が上がって肺の体積が減るため、ただでさえ呼吸が苦しい。この状態でのコロナ感染は重症化のリスクがある。母体の酸素濃度が低くなると早産の恐れも生じるので、できれば妊娠中期までのワクチン接種が望ましい」

■胎児への影響ない

 ―ワクチン接種によって胎児に影響はあるのか。

 「米ファイザー社製などのメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンはウイルスを含んでいないので、影響は起こり得ない。米疾病対策センター(CDC)が示したデータでもはっきりしている。妊婦の副反応は一般成人のものと変わらないと考えていい」

■健診で外出不可避

 ―デルタ株が猛威を振るう中、優先接種の機会をどう捉えるべきか。

 「デルタ株の影響で接種をしないことのリスクが高まっている。妊婦は健診に行かないわけにいかず、外出した際に思いがけず感染する恐れもある。妊婦に対するワクチンの安全性が担保されたので、なるべく早い接種をお勧めする」

■「流産」「不妊」デマ

 ―接種に起因する流産や不妊など、真偽不明の情報も出回っているが。

 「デマだと考えていい。私が知る中でも、接種後の女性が妊娠したケースはある。本人が納得できないのであれば、同居家族ら周囲が積極的に接種し、ウイルスを家庭に持ち込まないことを意識してほしい」

■産後よりメリット大

 ―妊婦が接種することでの利点はあるか。

 「抗体が母乳に含まれているとの報告があり、母親が免疫を持つことは赤ちゃんにもいい影響があるだろう。産後の接種を考えているのであれば、妊娠中の方が母子ともにメリットは大きいと考える」

山形市、予約までの流れ簡素化

 山形市は、希望する妊婦の新型コロナウイルスワクチン接種について予約から接種までの手続きを一部変更し、予約を取るまでの流れを従前より簡素化した。

 市内のワクチン接種・予約が未了の妊婦は約700人とされ、市は個別で約400人分、集団で約180人分の枠を設けた。7日に予約受け付けを開始し、受け付け人数は9日午後4時現在で個別約125人、集団は約25人となっている。受け付け方法の公表から予約開始までの期間が短かった上、接種に対する妊婦の慎重な考え方などが影響しているとみられる。

 このため市は、従来「予約前」に求めていたかかりつけ医への相談を、「接種するまでの間」に変更。いったん予約した上での医師への相談を可能とした。ホームページなどで周知を図っている。担当者は「予約前の相談は時間的な難しさもあった。より予約をしやすいように取り扱いを一部見直した」としている。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]