期待背負って、ヒーター復活 南陽・高橋さん、凍霜害対策

2021/8/31 09:24
霜害対策の「リターンスタックオイルヒーター」の復活に乗り出した高橋善一さん(右)=南陽市宮崎

 今春の凍霜害で県内の生産者が大きなダメージを受ける中、南陽市宮崎の農業高橋善一さん(69)は、50年ほど前に譲り受けた霜対策のヒーターの復活に乗り出した。試作品が先日完成し、生産者らを招いた試運転は好評だった。異常気象が取り沙汰される中、来年3月の完成、量産化に向けて期待が高まっている。

50年前に入手 試運転好評、量産化めざす 

 高橋さんによると、20年ほど前までは園地に置いた一斗缶で火をたくなどして霜対策をしていたが、最近は霜害が少なかったため、対策をしなくても大差がないという風評も定着。対策をしている農家はほとんどいなくなったという。

 こうした中で今春、50年以上ぶりといわれる大きな霜害が発生。高橋さんもサクランボの収量が例年の5%程度になるなど大きな被害を受けたほか、市農業委員会の会長として多くの生産者の苦悩も耳にした。

 そこで思い出したのが、市内にあった県農業試験場が約50年前に移転した際、譲り受けた「リターンスタックヒーター」。燃料を燃やし、煙突から排出される熱で園地を暖めて霜の被害を抑える装置で、自宅に保管していた十数台を引っ張り出した。

 だが、老朽化していたほか、燃料が一晩持たないため夜間に燃料を補充する必要があった。製造メーカーが既になく、類似品はあるものの、やはり燃焼時間が短いのが難点。一部では水や電気を使った対策機器の開発も進むが、初期投資や費用面での心配が残るなど手をこまねいていた。

 悩んでいた6月ごろ、知人が「世の中の農家の人が困っているはず」と、高畠町で精密機械や部品の加工・組み立てなどを手掛ける会社「秀機」を紹介してくれた。高橋さんと同社で改良を進め8月24日、生産者やJA関係者ら約20人を招いて試作品をお披露目したところ、高い評価を受け手応えを得た。課題は燃焼時間だが、今後さらに灯油の容量を15リットルにまで増やし、夜間に補充する必要がないようにするといい、燃焼時間は7時間前後を想定している。

 復活させるヒーターの名称は「リターンスタックオイルヒーター」とする予定で、霜害の発生が懸念される例年4月上旬ごろから1カ月ほど、霜注意報の発表や気温の予測をもとに使うことを想定。県に残っていた古い資料では10アール当たり20台との記載があるが、高橋さんの実体験では「もっと少なくてすむだろう」という。「悲痛な生産者の声を数多く聞いた。霜害防止に貢献したい」と、高橋さんはヒーターの復活と普及に情熱を注いでいる。

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