経済3団体、職域接種を断念 県内ワクチン確保めど立たず

2021/7/31 09:26
新型コロナウイルスワクチンの職域接種について8月16日の接種開始を断念することを決める3団体の関係者=山形市・山形メディアタワー

 新型コロナウイルスワクチンの職域接種に関し、県経営者協会(寒河江浩二会長)と山形経済同友会(鈴木隆一代表幹事)、山形商工会議所(矢野秀弥会頭)の経済3団体が8月16日からの接種開始を断念したことが30日、3団体への取材で分かった。県立保健医療大(山形市)の全面協力を得て準備を進めたが、ワクチン確保のめどが立たず、体制を維持したまま先延ばしにすると費用負担が増すことが理由という。

 3団体は6月24日、国に職域接種を申請。保健医療大を会場として同大のほか民間の医師や看護師の協力を得て、中小零細企業の従業員約5100人を対象に、8月16日からの7日間で1回目、9月13日からの7日間で2回目の接種を済ませる予定だった。

 しかし、6月下旬に全国的なワクチン不足が判明。申請直前に国の方針が変わり、申請受け付けを一時停止するなど混乱が生じた。3団体にも国から確保、送付に関し何の連絡もなく、接種開始が見通せなくなった。国のワクチン施策の混迷に振り回された形だ。

 同大は時期が先延ばしされても最大限協力する姿勢を示しているが、接種が9月下旬までずれ込むと授業が始まり、3団体が7日連続で会場を借りることは難しくなる。仮に授業開始後の土日に4週連続で会場を借りれば設備の撤去、設置費用などで約1千万円の負担増となり、医療従事者の確保が困難にもなるため、8月16日の接種開始を諦め体制を組み直すことにした。現時点でも予約システム料やコールセンター開設費、派遣スタッフのキャンセル料などで約400万円を支払う必要があるという。

 同市の山形メディアタワーに30日、3団体関係者が集まって対応を協議し決めた。寒河江会長は「職域接種を進めてほしいという政府を信用して準備を進めたが、はしごを外されたような気分だ」と話し、矢野会頭は「接種を待つ企業、従業員は多いものの、ワクチンがなければ、どうにもならない」と述べた。榊原憲二山形経済同友会副代表幹事は「腹は立つが、費用負担が膨らむなら立ち止まるのも仕方ない」とした。

 これを受け、県立保健医療大の前田邦彦学長は「万全の準備を整えるよう調整してきており、非常に残念だ。今後、ワクチン配布が決まれば、人的支援や施設貸し出しについて可能な範囲で最大限協力する」とコメントした。

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