山形大のがんゲノム医療、採血検査を導入 負担少なく、治療の選択肢増やす

2021/7/30 08:55
山形大医学部付属病院(資料写真)

 がんゲノム(全遺伝情報)医療に取り組む山形大医学部付属病院が来月、採血による遺伝子検査を導入し、それに応じた投薬などの個別型治療に乗り出すことが29日、分かった。これまでは遺伝子検査の対象は病変部のみだったが、血液も対象とする態勢を整えることで患者の体への負担を少なくし、治療の選択肢を増やしたい考えだ。

 厚生労働省は2019年9月、山形大など全国34施設を「がんゲノム医療拠点病院」に指定した。ゲノム医療は抗がん剤の標準治療の投与終了が見込まれる患者らに、希望を確かめた上で遺伝子検査を実施。結果を受け、院内の病理や薬物療法など各専門家による検討会議(エキスパートパネル会議)で治療法を協議し、可能であれば遺伝子に応じた投薬などのオーダーメード型治療を行う。

 鈴木修平腫瘍内科医と清野学産婦人科医によると、病変部のみが対象の遺伝子検査は、がん組織がわずかしか採取されていない患者では検査ができない課題があった。採取が難しい場合は20ミリリットル弱の血液からゲノム解析を行い、治療法を検討する。標準治療では効かず、複数の抗がん剤を投与している人などが対象だ。

 血液による遺伝子検査は8月2日に始める予定。患者は医師の説明を受けて採血に臨み、血液は米国の検査機関に空輸で送る。病院はゲノム解析による遺伝子データを受信し、速やかにエキスパートパネル会議を開催。患者は3週間前後で検討結果を受け、主治医と治療方針を決める流れとなる。希望者は主治医を通じて病院のがんゲノム医療管理室に申し込む。保険対象の患者の検査は高額療養費制度が適用される。

 同病院のがんゲノム医療では累計300件(7月27日時点)の遺伝子パネル検査を実施。がんの進行具合を考慮し、個別の治療法を提案できたのは1割前後という。がんゲノム医療を統括する永瀬智産科婦人科学講座教授は「採血検査の導入で新たなゲノム医療の選択肢が増える。まずは主治医の理解、判断が重要だ」としている。

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