7月豪雨から1年~想定外に備える(下) 「無堤区間住民の不安」

2021/7/28 10:25
押切地区で行われた水防訓練で、避難場所に集まる住民ら=5月、河北町谷地

 昨年7月の記録的な大雨で、最上川は9カ所が氾濫した。堤防がない無堤区間から水があふれ、避難を余儀なくされた住民も多い。一部区間では7月豪雨を契機に、国などの緊急治水対策プロジェクト(2020~29年度、総事業費約656億円)が進むが、地元住民の不安は尽きない。

 豪雨による住宅被害は26市町村、計777棟に及んだ。このうち河北町は最多の140棟で、大規模半壊2棟、半壊24棟などとなっている。3カ所で最上川が氾濫した大石田町は大規模半壊と半壊各1棟を含む98棟だった。

 プロジェクトでは河北町押切、溝延両地区の無堤区間に堤防を整備する方針が示された。このうち、押切地区は最上川と支流の古佐川の合流地点に位置し、堤防は集落の北端で終わっている。さらに古佐川の堤防は低く、7月豪雨では最上川の水が古佐川に入り込み、あふれて集落を飲み込んだ。自宅が床上70センチまで浸水した無職福田始さん(73)は「早く整備を進めてもらわないと安心できない」と胸の内を明かす。区長を務める農業太田勝志さん(68)は「大雨のたびに水が上がらないか心配になる」と強調した。

 今年5月には水防訓練が行われ、住民が設定された避難場所に集まったほか、要支援者の自宅を回り、誘導した。

 一方の溝延地区。寒河江川と最上川の合流地点から下流へ約2.4キロにわたって無堤区間が続き、果樹園や水田に大量の水や泥が流れ込んだ。農業江目広幸さん(67)は「堤防はできれば5年以内で完成させてほしい」と語った。

昨年の豪雨時に水が流れ込んだ無堤区間に設置された大型土のう=大石田町豊田

 大石田町内の最上川は昨年、観測史上最高水位(18.59メートル)を記録した。堤防は持ちこたえたが、豊田地区の無堤区間から水が流れ込んだ。その水は尾花沢市と大石田町の豊田水源場まで到達し、2市町約5400世帯が断水した。

 「堤防の代わりに積んでいる土のうを1段から2段にしてほしい」。今月8日に行われた最上川の重要水防箇所合同巡視で、豊田地区区長の芳賀清一さん(73)は国土交通省の関係者らに対し、語気を強めて要望した。

 昨年の水害後、無堤区間には高さ約1メートルの大型土のうが設置された。約90メートルにわたって2列で置かれている。ただ当時の濁流を目の当たりにしている芳賀さんには頼りなく映る。住民は築堤を要望しているが、プロジェクトにその方針は盛り込まれていない。芳賀さんは「70年暮らしてここ(無堤区間)から水が来たのは初めて。想定外の外だ。早く対応してほしい」と訴える。

 豊田地区の無堤区間について国交省新庄河川事務所は「土のうを積んだり、河道掘削で水位を下げたりすることで対応したい」としつつ、「地元の大石田町とどんなことができるのか考えていきたい」としている。

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