7月豪雨から1年~想定外に備える(上) マイ・タイムライン

2021/7/27 13:01

 最上川などの氾濫をもたらした昨年7月の記録的大雨から28日で1年となる。死者は出なかったものの、広範囲に及ぶ水害は県内各地に深い爪痕を残した。近年、自然災害は頻発・激甚化しており、「想定外」を見据えた備えが不可欠となっている。大きな被害を受けた大石田、河北両町の事例を中心に、被災地での新たな動きを2回にわたって紹介する。

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小座間さんが作成したマイ・タイムライン。取るべき防災行動を時系列に記している(画像を一部加工しています)

 7月豪雨では最上川をはじめ、各地で河川が氾濫。最大1万人超が避難した。国や県の調査では被害総額は約400億円に上り、県内で発生した風水害では過去最大となった。

 最上川が3カ所で氾濫した大石田町。町はこれを教訓として今年、町報6月号と一緒に「わらわら逃げっべ 〇〇家の避難計画(マイ・タイムライン」を全世帯に配布した。1枚の用紙に警戒レベルに応じて取るべき行動や要する時間、避難先、連絡先などを記入することができる。

 最上川沿いの同町四日町地区に住む農業小座間智夫さん(67)は、昨年の豪雨時に初めての避難を経験した。7人家族のため避難先での過ごし方などを考慮し、親類方、近くの中学校に分かれた。

 小座間さん一家はこの経験を基に、避難先を2カ所に設定。逃げる前の行動として「車や農機具の移動」「子どもたちの迎え」「区長に連絡」などの項目を書き込んだ。完成したマイ・タイムラインは壁に張り家族で共有している。小座間さんは「これで避難行動の予測ができる」とし、妻の美恵子さん(65)も「手順を確認できて良い」と話している。

作成したマイ・タイムラインを家族で共有し、避難行動を確認する小座間さん一家=大石田町

 最上川2カ所の氾濫のほか、多数の地域で内水があふれた河北町では、自主防災会単位でのタイムライン策定を推進するため、消防職員OBの防災専門員による出前講座を開いている。17日にはかすみ町地区(79世帯)の役員らが受講し、タイムラインを作成した。今月中に地区全戸に配るという。

 同地区のタイムラインは役員による避難呼び掛け、住民の取るべき行動を警戒レベルごとに記載するシンプルな内容。沢善博区長(73)は「昨年の経験を踏まえ、何をすべきかのマニュアルとしたい」と話す。

 家族や一人一人の避難行動を記すマイ・タイムラインとは異なるが、町防災・危機管理室の担当者は「役員らがやるべきことを明らかにすることで、地区内の逃げ遅れを防ぐことができる」と話す。

 県自主防災アドバイザーの千川原公彦さん(50)は「講師を招き、みんなで作成する機会を設けるなどすれば信頼性の高いマイ・タイムラインを作成できる」とアドバイスした。

 国土交通省では手軽に計画を立てることができるツール「逃げキッド」を作成し、各市町村などを通じて配布している。国交省山形河川国道事務所の調査第一課は「各家庭の事情に合わせて計画を作ってほしい」とし、「堤防やダムだけでは防ぎきれない時代が来ている」と強調した。

マイ・タイムライン 大雨や台風によって河川の水位が上昇した際、住民自身が取る標準的な防災行動を時系列で整理した行動計画表。いつ、誰が、何をするかを明確にすることで災害時の素早い避難につなげる狙い。茨城県常総市の鬼怒川堤防が決壊した2015年の関東・東北豪雨を機に国土交通省が作成を推奨している。

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