食用コオロギ養殖、来月にも商品化 ハイジェント山形工場(新庄)

2021/7/18 12:37
ハイジェントテクノロジー山形工場で始まった食用コオロギの養殖事業。成長段階に合わせケースの中で飼育する=新庄市泉田の同工場

 ものづくりの現場で昆虫飼育―。金属材料のめっき加工を専門にする新庄市のハイジェントテクノロジー山形工場が、食用コオロギ養殖事業に乗りだした。栄養価が高く、飼育効率の良さが魅力の“スーパー食材”を生産する取り組みで、8月にも商品化を目指す。同社は「地元新庄の特産品開発にもつなげたい」と力を込める。

 工場は同市泉田の横根山工業団地内にあり、約2.8ヘクタールの敷地に複数の工場棟が建つ。「未来の暮らしを守ろう課」を新設し、1棟の一角に飼育室を置いた。育てているのは熱帯性のフタホシコオロギ、ヨーロッパイエコオロギの2種で、ともに爬虫(はちゅう)類などの餌として広く流通する。

 日本の在来種に比べて成長が早く、ふ化時に1ミリグラムだった体重は成虫になると千倍の1グラムになる。産卵数も多く、増やしやすいメリットがある。100グラム中のタンパク質は牛の4倍超という。牛や豚の飼育に比べ安価で場所を取らない上、温暖化の一因とされる家畜のげっぷに含まれるメタンや二酸化炭素(CO2)の排出もわずかで環境に優しい食材といえる。

 事業は地球環境への負荷が小さく、食料危機の救済にも貢献できるとして、親会社のハイジェント(東京、小林剛社長)が着目し、生産拠点として空気がきれいな山形工場を選んだ。小林社長は「国連の持続可能な開発目標(SDGs)に合致する取り組み」と将来を見据える。

 室温30度に設定した飼育室で担当者が成育段階ごとに収納したケースを見て回り、最適な環境づくりのデータ収集などに当たる。野桑広文工場長(50)は「5月に飼い始め、日々増えている」と話す。飼育実績があり、自然エネルギー事業などを手掛ける埼玉県の企業に販売する。

 ハイジェント社の根岸茂美情報戦略室長(55)が現在、山形工場に専従し販路開拓など営業活動に当たっている。根岸室長は「市場はまだ固まっていないが、将来的には現在の生産規模を5倍に増やし、1カ月に750キロ出荷できる体制を整えたい」と意気込む。

 昆虫食に対する抵抗感をどう取り払うかが直面する課題だが、栄養価の高さを前面に粉末化するなどアイデアを凝らし商品化につなげる考え。野桑工場長は「せんべいやクッキーといった焼き菓子に練り込むほか、麺類のだしに生かす方法などが考えられる。地元新庄の新たな特産品につながれば」と期待を寄せている。

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