「進取」育む米沢商高生 渋沢栄一揮毫の校訓

2021/7/11 12:10
渋沢栄一が揮毫した校訓「進取」=米沢市・米沢商業高

 米沢市の米沢商業高(佐藤敬一校長)の校訓「進取」は、「日本資本主義の父」ともいわれた実業家・渋沢栄一が大正時代に揮毫(きごう)した。その生涯を描くNHK大河ドラマ「青天を衝け」が放送され、3年後には1万円札の肖像になることが決まるなど脚光を浴びる中、同校関係者は校訓に込められ、渋沢が体現したチャレンジ精神の重要性を再認識する。

 同校の創立100周年記念誌などによると、渋沢に依頼したのは1921(大正10)~23年に7代校長を務めた渋谷政秀。「至誠」「進取」を校訓に定め、同市出身で内務大臣などを務めた平田東助と、第一国立銀行など約500の企業の設立や経営に携わった渋沢に、それぞれ揮毫を頼んだ。渋沢の「進取」は力強い筆致で書かれ、「青淵」と雅号が添えられている。

 どのように渋沢までたどり着いたかは不明だが、記念誌には「再三にわたって上京し依頼した」とある。佐藤校長、伊藤広幸教頭は「日銀総裁を務めた結城豊太郎(南陽市出身)のつてか、平田東助経由か…」と謎解き。「進取」について、渋谷は「進取は勇気である。正しき道はどこまでも自ら進んでやり通すという勇気のある行動だ」と説明しており、佐藤校長は「生徒に渋沢のような人になってほしいとの願いもあったのでは」と推測する。

 渋沢直筆の1枚は平田が揮毫した「至誠」と一緒に校長室に掲示されているが、複製3枚が体育館や教室にもあり、生徒は普段から目にしている。歴代校長も折に触れ、エピソードを紹介してきた。だが、長らく「なんかすごい人が書いた」という漠然とした印象で捉えられていた。4月に同校のインスタグラムで発信したところ、卒業生から「驚いた」「誇らしい」の声が続々と寄せられた。新1万円札や大河ドラマを機に渋沢の功績が広く知られ、改めて重みを認識する人が増えたようだ。

 同校は4年後に米沢工業と統合することが決まっている。「入学時に『進取』『至誠』の意味を教わったが、書いたのが1万円札になる人と知り、入学したことを光栄に思った」と3年平山ことみさん(17)。佐藤校長は「真心という意味の『至誠』は生徒たちの中に既にある。ただ、『進取』が示すチャレンジ精神はもっと持ってもらいたい。世界に目を向けて吸収した後で故郷に戻り、未来をつくって」とエールを送る。

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