「フル規格新幹線の妥当性確認」 羽越・奥羽PTが費用対効果を公表

2021/6/22 07:17

 本県など沿線各県で構成する「羽越・奥羽新幹線関係6県合同プロジェクトチーム(PT)」は21日、両新幹線の費用対効果を盛り込んだ調査報告を公表した。所要時間短縮や利用者増などの効果(ベネフィット)を費用(コスト)で割った指標「B/C(ビーバイシー)」を初めて算出した。羽越、奥羽、同時整備のいずれも高架構造ではなく盛り土構造の専用単線による整備手法が最大値となった。

 PTは、単線化など整備手法を工夫することで、費用対効果の分岐点となる「1」を上回る結果が得られたと説明。フル規格整備の妥当性が確認されたとしている。調査結果を今後の政府要望などの活動に反映する。また、本県は、山形新幹線の福島県境部のトンネル整備が奥羽新幹線実現の足掛かりになると位置付けている。

 両新幹線沿線の山形、青森、秋田、福島、新潟、富山の6県は2017年にPTを設立。費用対効果、整備手法の研究、両新幹線を活用した地域ビジョンの3項目を検討してきた。

 「B/C」は45年に開業し、1日当たり片道32本を運行と仮定し、人口推計や経済成長率の試算などを加味した。事業費は専用線の用地買収費を含み、(1)複線・高架構造(2)単線・土(盛り土)構造―の2パターンで計算。羽越は(1)3兆4400億円(2)2兆6千億~2兆7100億円、奥羽は(1)1兆9100億円(2)1兆4500億~1兆5100億円とはじき出した。

 「B/C」は組み合わせによって12パターンあり、羽越、奥羽、同時整備のいずれも最大値は単線・盛り土構造で高めの経済成長率(年率1.9%)、最小値は複線・高架構造で低めの経済成長率(同0.9%)のケースとなった。

 一方、地域ビジョンは▽観光▽産業・経済▽暮らし・生活▽都市機能・防災―の4分野で取りまとめた。日本海、太平洋の両側にフル規格新幹線があり、奥羽新幹線が双方をつなぐことで、代替機能の確保や東北地方の回遊性の創出につながると強調。企業立地の促進、食を含めた文化の高付加価値化と新たな観光振興策の展開などが可能になるとしている。また、移住定住の促進や副業人材の活用など、コロナ禍で顕在化した東京一極集中の弊害の解消に結び付くとした。

 両新幹線は1973(昭和48)年に国の基本計画に位置付けられた。北陸などの「昭和47年組」の整備が進む一方、足踏みが続いている。

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