「大沼」利活用事業、滞る 「引き渡し」認識にずれ

2021/6/10 13:58
旧大沼山形本店(資料写真)

 破産した百貨店「大沼」の旧山形本店(山形市)に関し、建物の利活用事業がストップしていることが9日、関係者への取材で分かった。引き渡しを巡り前所有者の和田有弘(なおひろ)氏(84)と競売で落札した山形市都市振興公社との間での認識のずれが原因とみられる。公社側は棚や机などの動産が複数あることから「引き渡しは完了していない」と主張。一方、和田氏は「必要な動産処分は終えている」とし、引き渡しは済んだとの認識を示している。

 関係者の話を総合すると、1月下旬に公社への所有権移転手続きが完了後も建物内に複数の動産が残っていたという。公社側は今年3月中旬、山形地裁に対し和田氏が公社に建物を速やかに引き渡すよう、申し立てた。同地裁は同月19日付で命令を出した。関係者は「命令を受けて搬出作業を始めたようだが、完了したとの連絡はない」という。

 山形新聞の取材に対し、公社側は「利活用に向けて具体的な協議を始めるには建物内の動産を整理してもらうことで、引き渡しを完了することが必要。現状では動産の整理は不十分と考える」と語った。

 一方、和田氏は「搬出できる必要な動産は運び出した。マスターキーも渡している。電気も止めた。既に入ることはできない。引き延ばしているつもりはない」と主張している。

 現状について、不動産取引の専門家は競売で落札し既に所有権移転登記が済んでいる物件に関し「前所有者は速やかに建物内の動産を撤去、または所有権を放棄する必要がある」と指摘する。また、両者の主張が折り合わない場合、「落札者側は裁判所に対し執行を申し立てることができる」と話している。

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