結実へ、生産者懸命 凍霜害深刻の県産サクランボ、収穫量への影響懸念

2021/5/17 08:52
枯れて結実しなかった紅秀峰の花を確認する渡辺敏幸さん=寒河江市三泉地区

 県産サクランボの生育が進む中、4月上旬に発生した凍霜害の影響で、例年より収穫量が少なくなるのではないかとの懸念が、生産現場に広がっている。園地の8割近くが被害を受けたケースもあり、生産者からは「これだけの被害は初めて」との声が漏れる。県は着果管理の徹底を呼び掛けており、今月下旬には作柄調査に基づく予想収穫量を発表する予定だ。

 県の調査では、主力品種「佐藤錦」で2~6割、県奨励品種「紅秀峰」で4~8割の被害が確認されている。ただ、サクランボは多くのつぼみを付けるため、残った花を生かすことが重要となる。2015年も広域で霜害が発生したが、収穫量は平年並みの1万3200トンに落ち着いた。

 県やJAは今季、広報キャラバンを展開し積極的に人工授粉などを行うよう周知した。一方、受粉を助けるマメコバチについては4月末の天候不順で気温が低かった日もあり、園地によっては活動が鈍かった可能性があるという。

 寒河江市内4カ所にサクランボ園地を所有する渡辺敏幸さん(80)=同市中河原=は「紅秀峰を20年以上扱っているが、これだけの被害は初めて。かなりしんどい」と、結実せず枯れたまま残された花を前に肩を落とした。計20アールで育てる紅秀峰の8割以上で雌しべが枯れた。出荷量が例年の半分以下に落ち込むことも覚悟するが、「実った果実を大切に育てるしかない」と懸命に前を向く。

緑色の実を付け始めた岡崎貴嗣さんのサクランボ農園=東根市中央東1丁目

 JAさくらんぼひがしね(東根市)果樹共選運営委員会で、さくらんぼ共選委員長を務める岡崎貴嗣さん(47)=同市中央東1丁目=は約1.2ヘクタールでサクランボを栽培。佐藤錦は3割ほどが被害を受けたが、その後は人工授粉やハチの活用に力を入れた。「例年より多少実の数は少ないかもしれないが、全体としてはまあまあという状況だ。栽培管理をしっかり続けたい」と話す。

 王将果樹園を運営している「やまがたさくらんぼファーム」(天童市)の矢萩美智社長(45)は、「紅秀峰は厳しい状況だが、佐藤錦は例年並みに着果している」と見ている。6月中旬に開園予定で、例年なら7月15日ごろまで営業を続けるが、今季は着果状況を踏まえて7月上旬には閉園する方針だ。

 県は今後の対応に関し、多く付いた実を間引く「摘果」を慎重に行うよう呼び掛けている。自然に実が落ちる「生理落果」が起きることを踏まえ、「慌てて摘果し、残した実が落ちてしまえば元も子もない。今季は例年以上に状況を見極めながら作業してほしい」としている。

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