酒田の名店、歴史に幕 駅前の「やきとり居酒屋庄内藩」30日まで営業

2021/5/16 11:40
今月末で長年親しまれてきた店を閉じることにした店主の熊谷文夫さん。「コロナには勝てなかった」と話す=酒田市・やきとり居酒屋 庄内藩

 酒田市のJR酒田駅前で長年親しまれてきた「やきとり居酒屋 庄内藩」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、今月末でのれんを下ろす。今のスタイルでの営業は34年で、店主熊谷文夫さん(67)の父で創業者の故要三さんの代から数えると50年以上。売り上げは激減し、熊谷さんは「続けたい気持ちは強いが、コロナには勝てなかった」と、力なく話した。

 熊谷さんは3代目で、初代の要三さんは秋田県から同市に出て1965(昭和40)年、当時としては珍しいカクテル専門店を市内の日和山付近で始めた。

 当初は兄が店を継ぎ、2号店を酒田駅前に出店。その後は現在の場所で前身となる「やきとりセンター」とパブ、小料理屋「熊さん」の3店舗を営んでいた。89年に三つの店を統合し、現在の「やきとり居酒屋 庄内藩」として再スタート。「庄内を代表する居酒屋にする」との思いを込めた店名で、要三さんが、旧庄内藩主酒井家の当時の当主から許可をもらって命名したという。

 焼き鳥だけでなく、庄内地域ならではのおいしい食材や酒も提供。海の幸や洋風の料理も取りそろえ、酒田駅前の代表的な居酒屋として評判となり、観光や出張で訪れる人も多くなった。コロナ禍の前は1階のカウンターや座敷に加え、2階の宴会場も埋まった。

 だが、店の規模が大きい分、新型コロナ感染拡大による経営面への影響は大きかった。「宴会は全てキャンセル。100人以上来ることがあった週末に4人だけという日もあった」と熊谷さん。昨年の4、5月と12月から今年1月までの2回、休業せざるを得なかったことも響いた。

 酒田駅前では、他にも閉店する飲食店は出ている。酒田駅前商店街振興組合の五十嵐渉理事長は「再開発が進んで新たなホテルも建ち、これから一緒に盛り上げたかったので残念。同じような判断をする店は増えるかもしれない」と話す。「地元の人に支えられてきた。感謝を伝え、店を閉じたい」と熊谷さん。最後の営業は今月30日。それまで、変わらない味を提供するつもりだ。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]