花泉凧、端午の空に舞え 伝統継承し阿部さん(天童)が制作

2021/5/3 12:36
多彩な花泉凧に囲まれ筆で絵を描く阿部太彦さん=天童市大町

 江戸後期の天保年間に今の山形市八日町で畳屋を営んでいた初代・阿部華泉(かせん)が考案した花泉凧(かせんだこ)。現在は4代目の阿部太彦(たかひこ)さん(64)が、天童市大町の工房で制作している。

 初代は端午の節句に合わせ大きなのぼり旗を作り、冬季に凧(たこ)を作った。山形では大きなのぼり旗に対して凧は小旗(こばた)と呼ばれたという。その歴史から5月5日の端午の節句に合わせ、凧が作られ揚げられるようになった。

 花泉凧は東京で生活をしていた太彦さんが、病気療養中だった3代目の伯父・祝次郎(しゅうじろう)さんが持っていた版木や下絵、凧作りの道具を見つけ、指導を受けて1977(昭和52)年に復活させた。

 絵柄は版画か手描き。緻密な歌舞伎絵風や浮世絵風で、餅つきウサギや福助、虎に源平合戦の一こまなど多彩だ。鮮やかな赤は花泉の赤と呼ばれている。

 長方形の角凧、上下に三角の飛び出しがあるこま凧や、足を何本か付けたくらげ凧などいろいろな形がある。大きさは27センチ角から畳3畳分までとなっている。

 「最近はコロナ禍で観光土産の需要がほとんどなくなったが、結婚祝いや出産祝いなど慶事に贈られる注文が多くなった」と太彦さん。また、教育関係で凧作り教室や凧揚げ大会の協力依頼もある。外で行う凧揚げはソーシャルディスタンスを確保できるので安心感もある。

 太彦さんは「雪国の山形はこれからが凧揚げに格好の季節。花泉凧は飾りにもなるが、空高く揚げて舞う様子を楽しんでほしい」と話した。

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