南陽・東置賜、若手も負けない 県縦断駅伝最終日

2021/4/30 09:54
南陽・東置賜の23区島津裕太(山梨学院大)が酒田・飽海を抜いて前に出る=米沢市

 第65回県縦断駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会など主催)は最終日の29日、長井―山形間の8区間79.9キロでレースを行い、南陽・東置賜が4時間8分16秒で制した。3日間の合計タイムは15時間58分37秒で史上最多に並ぶ9大会連続の総合優勝を果たした。

 この日のレースは酒田・飽海が4時間12分27秒で2位となり、鶴岡・田川は4時間15分5秒で3位。第2日優勝の寒河江・西村山は4位でゴールし、山形は5位、北村山は6位となった。以降は上山、天童・東村山、新庄・最上、米沢、長井・西置賜だった。

 総合成績は酒田・飽海が16時間12分19秒で2位となり、3位の鶴岡・田川は16時間13分44秒。4位以下は寒河江・西村山、山形、天童・東村山、上山、北村山、新庄・最上、米沢、長井・西置賜。3日間でマークした区間新記録は19だった。

 【評】総合9連覇を達成した南陽・東置賜は3日間を通じて安定感のあるレース運びが光った。最終日は4人が区間賞を獲得するなど、要所を締めた区間配置で手堅く勝利をものにし、合計タイムのリードを広げた。酒田・飽海は堅実な走りで2位となり、総合順位を2位に押し上げた。序盤の出遅れが響いた鶴岡・田川は総合3位だった。4位の寒河江・西村山は若手の奮闘が光り、総合でも4位に食い込んだ。

総合V9・ジュニア育ち、社会人に刺激

 【いだてん】南陽・東置賜の勝因を挙げるならば、地元で育った若手の活躍だろう。小中学生の強化を目的とした駅伝ジュニア出身の23区(川西―米沢)島津裕太(山梨学院大)が流れを生み、中高生が引き継いで上位を死守した。チームは4大会ぶりの最終日優勝を飾り、大会最多タイの総合9連覇。小野正晃監督は「島津が雰囲気を変え、その後の中高生も頑張ってくれた」と感慨深げに話した。

 実業団選手を中心に盤石な布陣で臨んだ。ただ3日間の中で、順位変動の大きい中高生区間が続く最終日は苦戦することが多かった。今年は「(ジュニアでの)後輩の成長を感じていた。2日目の高校生の力強い走りにやる気をもらえた」と島津。トップと1分18秒差でたすきを受け取ると「後ろの中高生に余裕を持って走ってほしい」とどんどんペースを上げた。先頭を走る酒田・飽海をかわし、2位に7秒差をつけて24区(米沢―上郷)近野碧良(沖郷中)に託した。

 小野監督は「見えないパワーが送られたようだった」と振り返る。中学生区間で近野と26区(亀岡―高畠)和田歩大(赤湯中)がともに区間2位の力走。高校生区間の25区(上郷―亀岡)武田悠斗(東海大山形高)も粘りの走りで上位をキープした。堀宏和主将が「社会人とジュニアが互いにいい刺激になっている」と話すように、練習場所が同じことで相乗効果となり、チーム力を高めている。

 総合9連覇を果たし、来年は前人未到の10連覇に挑む。それでも小野監督は「選手が力を発揮することが大切」と冷静に語る。ゴールテープを切った最終29区(上山―山形)佐藤真二(南陽市役所)は「他のチームに負けないよう、もう一度土台づくりから始める」。王者は慢心なく、しっかりと1年後を見据えた。

力を発揮、最高の結果

 南陽・東置賜 小野正晃監督 総合9連覇は意識すると余計な力が入るので、考えないようにしていた。選手が力を発揮したことで得られた最高の結果。(10連覇へ)来年もしっかりと力を付けてチーム一丸で戦い、県民の皆さんに頑張る姿を見せたい。

優勝の喜びが大きい

 南陽・東置賜 堀宏和主将 コロナ禍でなかなか練習できず、開催も不安だったが、走る機会があってありがたかった。2年ぶりの大会で、その分優勝の喜びは大きい。次の大会に向けてまた準備の1年が始まる。(10連覇へ)挑戦者の気持ちで向かいたい。

最終区で1秒差を逆転し、総合2位を引き寄せた酒田・飽海の遠田光太郎(左、酒田天然ガス)。前走の鈴木亮平(東北エプソン)が背中を押した=上山市

健闘、酒田・飽海総合2位

 【ハイライト】酒田・飽海が総合2位に入るかどうか、すべてはアンカーの遠田光太郎(酒田天然ガス)に託された。28区(南陽―上山)を終えて2位の鶴岡・田川との差はわずか1秒。阿部亮監督からの情報に「マジか」。遠田は重責に困惑したが、すぐに「勝てば2位、負ければ(3位に)落ちるだけだ」と開き直った。「自分の走りをする」。こう言い聞かせた。

 中高生区間で奮闘し、25区(上郷―亀岡)でトップに躍り出た。「見せ場をつくる」と阿部監督は手応えを感じた。切り札は28区を走る鈴木亮平(東北エプソン)。だが、鈴木の足が動かない。

 「疲れが残ってる」。阿部監督は異変に気付いた。気持ちはあるのに足が出ない。この区間で鶴岡・田川に総合で逆転を許した。中継所に飛び込んできた鈴木はうなだれた。そして、託すように遠田の背中を押した。闘志に火が付いた。「後は任せろ」

 総合順位は3日間のタイムを積み上げて決めるため、先にゴールした方が勝ちとなる各日のレースとは違い、常に前も後ろも「見えない相手」との戦いとなる。14.2キロの間、遠田は雑念を捨て「集中して走る」ことだけを心掛けた。腹痛でラップを落とす場面もあった。メンバーの顔が浮かんだ。「ここで踏ん張らなきゃ。そしてひっくり返す」。ゴールテープを切った。手応えはあった。

 チームは総合準V以上に次につながる大きな成果をつかんだ。阿部監督は胸を張った。「王者南陽・東置賜を追い掛ける1番手まで来ることができた」

7位でたすきを受けて走り出す鶴岡・田川の23区佐藤琉稀(平成国際大)=川西中継所

熱走、鶴岡・田川総合3位

 【ナイスラン】激しい総合順位争いを繰り広げた鶴岡・田川。この日のスタートで他に先行を許したが、23区(川西―米沢)の佐藤琉稀(平成国際大)が4人抜きで踏ん張った。23大会ぶりの準優勝を諦めず、勝負は最終盤までもつれた。

 最終日のレースは序盤から熱を帯びた。22区(長井―川西)で三つのチームが区間新記録をマーク。鶴岡・田川の走りも悪くなかったが、目指した目標は高い。「(優勝争いをした)初日で悔しさを味わった」(奥泉伸監督)という佐藤琉が流れを変えた。各チームがエース級を投入した区間で、前を追って南陽・東置賜に続く区間2位の走り。酒田・飽海の背後に迫る起点になった。

 第62回大会に総合9位まで落ち込んだチームは前回、13年ぶりの3位と躍進した。「今回は3位で悔しいと思うことができた」と奥泉監督。各選手の言葉には貪欲さが加わり、ライバルにとって怖い存在になってきた。

寒河江・西村山の25区木村快斗(右、東海大山形高)が区間記録を更新し、4位でたすきをつなぐ=亀岡中継所

快走、寒河江・西村山総合4位

 〇…2日目優勝、総合5位以内を目標に掲げていた寒河江・西村山は目標を上回る結果を残した。「全員の粘りが光った」。志田学監督はメンバーの成長ぶりを誇らしげに語った。

 2日目に続いて連覇を狙った最終日。若手が躍動した。25区(上郷―亀岡)で木村快斗(東海大山形高)が区間新記録を出し、チームを勢いづけた。3日目の順位を5位から4位に上げただけでなく、3位の鶴岡・田川とのタイム差を縮めた。

 志田監督は「終わってみれば3日目順位で5位の山形とは4秒差。木村の快走が効いた」と伸び盛りのランナーの功績をたたえる一方、「各年代ごとに戦力が整ってきた。次の大会は総合成績で、上位争いに食い込んでいきたい」と目標を語った。

高校生が突破口、山形総合5位

 ○…高校屈指の実力者が突破口を開いた。高校生区間の25区(上郷―亀岡)で山形の阿部和幸監督から「区間賞を取ってこい」と送り出された鎌田匠馬(東海大山形高)。区間記録を1分5秒縮める圧巻の走りを見せた。

 たすきを受け取った時にチームは10位で「強い気持ちで集中できた」と積極的に攻めた。5人を抜き、チームは5位に浮上。同世代の大会で上位の常連だが、7.6キロの短い区間で大幅に記録を更新し、自分自身も目を丸くした。

 苦戦したチームの総合5位を支えた一人に。「自分の力を知るいい機会になった」と手応えを示した。

天童・東村山、失速総合6位

 ○…天童・東村山は総合6位でレースを終え、目標の3位に届かなかった。中村展人監督は「考えていたよりも上位と大きな差がある。ふがいない結果に終わってしまった」と肩を落とした。

 22区(長井―川西)の舩田圭吾(武蔵野学院大)は4位で順調に滑り出したものの、その後にチームは失速。浮上のきっかけをつかめないまま、2日目より順位を下げた。一方で3日間を通して、若手の中野創也(デンソーFA山形)や吉田梢(日新製薬)らの奮闘も。中村監督は「新たな力を中心として、チームを立て直していきたい」と雪辱を誓った。

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