南陽・東置賜、出遅れなんの 県縦断駅伝第1日

2021/4/28 07:59

 第65回県縦断駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会など主催)は第1日の27日、遊佐―新庄間の11区間、113.5キロでレースを行い、史上1位に並ぶ9大会連続優勝を狙う南陽・東置賜が5時間56分47秒で初日を制した。

 手堅いレースで上位を堅持した酒田・飽海が2位。3位には序盤で勢いに乗った鶴岡・田川が入った。4位以下は寒河江・西村山、山形、天童・東村山、上山、北村山、新庄・最上、長井・西置賜、米沢と続いた。

 昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり、2年ぶりのレースとなった。(本紙取材班)

 【評】地力に勝る南陽・東置賜が競り合いを制し、総合優勝争いの主導権を握った。実業団勢と力のある社会人が10区間で五つの区間賞を獲得するなど、厚みのある陣容で1区(遊佐―酒田)の出遅れを挽回した。酒田・飽海は要所を押さえた選手配置で常に上位をキープ。全員が区間5位以内でつなぐ安定感が光った。鶴岡・田川は序盤に投入した主力の快走で首位争いを演じたものの、勢いは最後まで続かなかった。

難関10区、主将がトップ奪取

10区で南陽・東置賜の堀宏和(右、南陽市役所)が鶴岡・田川を抜いて首位に立つ=鮭川村

 【いだてん】大会最多タイの総合9連覇がかかる南陽・東置賜の出だしは決して良好ではなかった。トップ争いに絡み始めたのは終盤。少しずつだが着実に順位を上げていった。「まさか自分のところまで競ってくるとは」。10区の升形中継所で待つ主将・堀宏和(南陽市役所)は予想外の展開にプレッシャーもあったが、難コースで首位をかわしてチームはこの日初めて先頭に立った。小野正晃監督は「これぞベテランのなせる技だ」と殊勲者の走りをたたえ、前回大会で逃した初日優勝を喜んだ。

 追う展開は想定していた。1区(遊佐―酒田)は8位でたすきをつないだ。2区(酒田―黒森)以降で上位との差を詰めにかかったが「距離が思ったより離れて難しかった」と小野監督。前半に主力選手を並べた鶴岡・田川に大きく水をあけられ、6区鶴岡中継所では3分3秒の差がついた。それでもさすがは8連覇中の王者。監督がもう一人の殊勲者に挙げる7区(藤島―狩川)大河原謙人(高畠町役場)らの踏ん張りで徐々に順位を上げ、鶴岡・田川の背中を捉えた。升形中継所での差はわずかに2秒。「ここで離されるわけにはいかない」。堀は気合を入れた。

 10区(升形―鮭川)は5.9キロと距離は短いが、高低差があり、場面ごとの力の入れ具合が難しい。「スピードのある選手ではない」(小野監督)が、35歳の堀を起用したのは豊富な経験への信頼から。堀は「前の選手のペースが速かったが、無理に行かず自分のリズムで走った」。上り坂に入ってじわじわ追い上げ、下りで力を蓄えると、勝負どころの後半で一気に力を放出。首位を奪い取った。

 揺るぎない強さを誇るチームは自信に満ちあふれていたかと思いきや、大河原は「下位からのスタートで不安もあった」と本音を語り「みんなで順位を上げてたすきをつなげた」と胸を張る。堀主将は「完全優勝も視界に入った。成し遂げたい」と力強く語った。

追う展開は想定内

 南陽・東置賜 小野正晃監督 優勝にほっとしている。追いかける展開は想定していた。大会総合9連覇にとらわれず、選手一人一人が力を発揮することが大切。それが結果につながるし、県民の皆さんにも駅伝の楽しさが分かってもらえると思う。

酒田・飽海の8区鈴木亮平(東北エプソン)が2人を抜き、トップでたすきをつなぐ=古口中継所

酒田・飽海2位、好発進

 【ハイライト】「優勝するぞ」。酒田・飽海の8区(狩川―古口)鈴木亮平(東北エプソン)は3位から一気にトップに立って1位でたすきをつなぐと、人さし指を天高く突き上げた。勝負どころで流れを引き寄せ、チームは初日、南陽・東置賜に48秒差の2位と好発進した。最長区間での力走を阿部亮監督は「最高の走り」とたたえた。

 8区は毎年、レースが大きく動く。トップの鶴岡・田川と2位南陽・東置賜、3位酒田・飽海は2分20秒の中で攻防を繰り広げた。鈴木は9連覇を目指す南陽・東置賜との接戦のさなかでたすきを受け取った。「自分の力以上は出せない。できることを最大限やろう」と冷静さは失わなかった。向かい風の中、2位の背中に張り付き、11キロを過ぎた地点で一気にスパート。「相手が予想しないところで仕掛けたかった」。一気に引き離すと、勢いに乗って首位を快走していた鶴岡・田川に追い付き、競り合いを制してトップに躍り出た。

 9区で再び3位に後退したものの、「ここで粘れるのが今年の強み」と阿部監督。10区(升形―鮭川)三浦拓真(拓殖大)が「強気に攻めることができた」と区間新の快走を見せ、アンカー佐藤匠(庄交コーポレーション)の2位浮上につなげた。阿部監督は「悔しさは残るが、明日につながるレースだった」と手応えを感じていた。

鶴岡・田川の2区斎藤諒(右、NDソフト)が先頭に立ち、3区鈴木博斗(JA鶴岡)にたすきをつなぐ=黒森中継所

鶴岡・田川3位、勢い乗った

 【ナイスラン】今大会も鶴岡・田川の積極策がはまった。序盤に勢いのある主力をつぎ込み、先頭でレースをけん引。悲願の優勝には届かなかったが、奥泉伸監督は「首位と差のない3位。こちら側が楽しませてもらった」とうなずいた。

 13年ぶりの総合3位になった前回同様に、初日に見せ場をつくった。1区(遊佐―酒田)に社会人として初参戦の佐藤雄志(JA鶴岡)を起用。区間2位で流れをつくると、たすきを受け取った斎藤諒(NDソフト)も黙ってはいない。長井・西置賜を抜き去ると、「1秒でも多くの差を付けたかった」と奮起した。2区間連続の新記録で突き放し、鈴木博斗(JA鶴岡)も好タイムで続いた。

 終盤には後藤拓馬(オリエンタルモーター)が「年のせいにはしたくない」と粘り、最後まで上位争いに絡んだ。ベテラン勢の意地が見え、前回以上の手応えを得た奥泉監督がひと言。「欲が出てきました」

粘りの走りで1区で区間新記録を出し、チームを勢いづけた寒河江・西村山の荒井雄哉(山形環境エンジニアリング)=酒田市

寒河江・西村山、粘って4位

 〇…寒河江・西村山の選手、監督は初日4位の成績に驚きを隠さなかった。年々、選手層の厚みが増し、上り調子なことは全員が自覚しているものの、目標を上回るゴールに「表彰台を狙えるぞ」と気勢を上げた。「全員が粘ってつなげた結果だ」。志田学監督は全員の走りをたたえた。

 流れをつくったのは1区(遊佐―酒田)で区間新記録をたたき出した荒井雄哉(山形環境エンジニアリング)。荒井の頑張りに後続のランナーも粘りの走りで上位に食らいつく。苦しい場面では「諦めるな」と、自分に言い聞かせた。山形との激しい4位争いを繰り広げた後半。この気持ちの差が明暗を分けた。「勢いに乗り、2日目はトップで地元入りする」。主将の杉沼聖平(スガタ商事)は全員の気持ちを代弁した。

作戦不発、山形5位

 〇…前回大会で初日優勝した山形は5位に終わった。「的確な指示ができなかった。私のミス」。阿部和幸監督は力なく語った。特に痛かったのは終盤。寒河江・西村山と競り合いに負けたことだ。勝負どころでスパートをかけたり、後ろに付かれた場面で、一気に引き離して相手の気持ちを折ったりする作戦が不発に終わった。打つ手が機能しないと選手の動きが悪くなる。阿部監督は「選手全員は力を出し切った」とかばいつつ、「2日目は同じ間違いは繰り返さない。序盤の流れを後半につなげる」と巻き返しを誓った。

競り合えず、天童・東村山6位

 〇…天童・東村山は1区(遊佐―酒田)の舩田圭吾(武蔵野学院大)が区間新記録の走りをみせ、4位の好位置につけた。スタートダッシュに成功したが、その後は「予定通りにレース展開できなかった」と中村展人監督は肩を落とした。ずるずると順位を落とし、6位で終わった。作戦は「1区で上位に入り、その流れで勝ち切る」だった。中村監督は「前との差が広がり、競う相手がいなかった」と振り返った。競り合う対象がいないレースはモチベーションを保つのが難しい。「レース展開に関わらず、自分の力を出し切ってほしい」と中村監督は選手を鼓舞した。

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