増える、10代の自殺 県内学校、自治体の対策急務

2021/4/18 11:55

 10代の自殺者が増えている。本県では2015~18年と比べて19、20年に倍増し、減少傾向にある全世代と逆行している。全国では昨年、小中高生の自殺者数が過去最多になった。背景として、新型コロナウイルスの影響が長期化する中、子どもたちの精神的な負担が増えているとの指摘がある。学校や自治体に早急な対策が求められている。

 国は改正自殺対策基本法が施行された16年以降、地域でデータを分析し、予防に向けた取り組みが進められるようにデータを公開してきた。20年の統計(速報値)では、県内で自殺した10代は9人。内訳は村山地方4人、庄内地方3人、置賜地方2人となっている。

 日時では5月以降に8人が集中している。全国で新型コロナウイルスが広がり始め、一斉休校など異例の事態が続いた頃だ。厚生労働省自殺対策推進室は、外出自粛による家庭での時間増加に伴い、学業や進路、家族の不和などに悩む子が増えた可能性を指摘する。

若年層に相談窓口を知らせるため、県が配布している名刺サイズのカード

 県も対策を進めている。昨年度から、会員制交流サイト(SNS)の相談窓口を紹介する名刺サイズのカードを作成。県内の中高、大学、短大向けに7万7500部を配布した。県精神保健福祉センターの渡辺祐子さんは「コロナ下で家庭にストレスを感じる子もいる。学校や周囲の誰かが変化に気づくことが必要だ」とし、2月には市町村担当者と研修を開催し、専門家から子どものSOSの受け取り方を学んだという。

悲しみ癒えぬ遺族、周囲は静かに見守って

 「自分だけ別の世界にいるようだった」。県内に住む50代女性は、息子が20歳で自ら命を絶った当時を振り返る。食べられない。眠れない。誰にも会いたくなくて、買い物は早朝に遠くのスーパーへ行った。

 世界保健機関(WHO)の報告によると、1人の自死により、家族や周囲の少なくとも6人が心身に深刻な影響を受けるという。特に子を失った親は「なぜ助けられなかったのか」と自責の念に駆られ、苦しむ。

 女性は起きていると息子を思い出すため、床に伏せがちになり体調を崩した。数カ月後、人を避けるように下を向いていたら「悪いことをしたわけじゃない。堂々として」と友人が励ましてくれた。地域の人たちの優しさに触れ、徐々に前を向けたという。間もなく10年がたつ。今も泣かない日はないが、友人が「新車のキーを自慢げに見せてくれたのよ」と、息子の思い出話をしてくれるのがうれしい。

 しかし、周囲に打ち明けられない人もいる。自死遺族のケアに当たるNPO法人福島れんげの会には、本県を含む全国から参加者が集まる。金子久美子理事長は「家族間でも捉え方は違い、千差万別」と話し、周りは静かに見守る必要があるとする。悲嘆に暮れる親を前にして「自分が死ねばよかった」と思い悩むきょうだいもおり、電話やメールでも遺族には心地よく話せる場所を探してほしいと提案する。

 本県では精神保健福祉センターが毎月第3金曜に遺族のつどい「ティアーズの会」を開いている。問い合わせは023(674)0139。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]