保育無償化巡り、不信感あらわ 県市長会「県政、市町村置き去り」

2021/4/17 10:06
オンラインで開かれた県市長会総会。県が事前協議ないまま進めようとしている保育料無償化事業に対し、多くの市長から不満が噴出した=山形市役所

 県が2021年度から開始予定の保育料無償化を巡り、16日に開かれた県市長会総会で、多くの市長から市町村を置き去りにした進め方だとして不満が噴出した。各市町村にも半分の財源負担を求めるのに、事前協議しなかったことがやり玉に挙がった。県側が各市町村に説明したのは知事選終了後の今年2月。多くは新年度予算の編成を終えていた。「このやり方を続けていくと相当な反発が出るのは必至」。複数の市長は県への不信感をあらわにした。

 「事前に説明がなかったことに山形市では困惑した。各市でもそのような状況だと思う」。市長会長の佐藤孝弘山形市長は各市長の思いを代弁した。事業趣旨について各市長から異論はなかったが、進め方に対する県の姿勢に多くの市長は疑問を示した。

 佐藤山形市長は「同事業は県が全額負担し、各市町村と十分な協議を踏まえた上で、県内統一的な仕組みを構築した後、開始することを要望する」と提案した。山尾順紀新庄市長、山本信治天童市長、白岩孝夫南陽市長、内谷重治長井市長、皆川治鶴岡市長も同様の趣旨を訴えた。

 吉村美栄子知事は冒頭のあいさつの後、退席。県側は松田明子しあわせ子育て応援部長が各市長の質問に答えたが、事業内容の説明に終始し、「市町村から意見をもらいながら進めていきたい」と理解を求めた。かみ合わない議論に皆川鶴岡市長は「今回の案を取り下げるぐらいのことをするべきではないだろうか」とし、佐藤山形市長は「逆の立場で考えてほしい。各市の首長が、ある利用費を無料にするとの選挙公約を掲げて当選し、その後、事業費の半分を県に負担してほしいと言った時に県はそれに対し、『はい』と言えるのだろうか」と指摘。「民主主義の根幹に関わるものだ」と強調した。

 総会後、報道陣から県側と多くの市長の応酬について「知事選のしこりなのか」と問われた市長会長の佐藤山形市長は「今日の提案内容をみると、今よりどう良くしていくかに関心は移っている。もう、選挙のことをどうこう言うつもりはない」と語った。

知事「説明不足解消したい」

 県が2021年度当初予算に計上した0~2歳児対象の保育料段階的無償化事業を巡り、吉村美栄子知事は16日、事前の説明や調整が不十分なままの制度設計だとする県市長会側の不満を念頭に置いた上で「説明不足を解消しないといけない。しっかりと受け止める」と述べ、市町村側の意向の把握に努めるとした。

 吉村知事は県市長会にオンラインで参加。冒頭部のあいさつ後に退席し、「予算も含めて市町村の事情を聞き、相談しながら一緒に取り組むことが大事だと思っている」と語った。同事業は吉村知事が先の知事選で掲げた主要公約の一つ。知事選の余波については「選挙から3カ月がたち、しこりがないことを祈っている。移住定住にもつながる施策として、市町村と前に進められるよう願う」と述べた。

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