県内虐待疑い、1.5倍644人 20年県警、児相に通告

2021/4/5 12:16

 県警が2020年の1年間、虐待を受けている疑いがあるとして児童相談所に通告した子どもが、19年の1.5倍に当たる644人に上ったことが4日、県警人身安全少年課への取材で分かった。約半数の320人は、目の前での家庭内暴力(DV)による心理的虐待だった。全国的に子どもが犠牲になる虐待事件が相次いでおり、社会全体の関心の高まりや県警の積極的な被害把握が背景にあるとみられる。

 児童虐待には、▽暴力を振るう「身体的」▽食事を与えないなどの「ネグレクト(育児放棄)」▽性行為の強要などの「性的」▽無視や罵声を浴びせる「心理的」―の4類型がある。最多の心理的虐待は448人(69.6%)で、このうち320人が面前でDVが行われたことによる。ほかは身体的虐待が117人(18.2%)、ネグレクト71人(11.0%)、性的虐待8人(1.2%)と続いた。

 「生まれてこなければよかった」「くそガキ、土下座しろ」「山に置いてくる」―。これらは心理的虐待の被害を受けた子どもたちに向けられた言葉だ。面前DVは約6割が家事や仕事、生活態度などを巡るトラブルで起きていた。ほかは子どもの養育問題や不貞行為・離婚、金銭問題に起因するもので、中には新型コロナウイルスの特定給付金の使途を巡りDVに発展したケースもあった。同課の担当者は「面前の暴力・暴言が子どもたちの心を傷つける。親権者としての立ち居振る舞いを考えてほしい」と訴える。

 虐待の摘発件数も20年は53件と、過去5年で最多だった。内訳は暴行36件、傷害8件、強制わいせつや強制性交など性的虐待7件、ほかは保護責任者遺棄と暴力行為処罰法違反がそれぞれ1件。処罰者は実父が23人、実母16人、養父5人、親族らその他が9人などとなっている。山形市の30代男は昨年1月、息子を殴ってけがをさせたとして逮捕された。別の男は自宅で養女の胸などを触ったとして強制わいせつの罪で先月、有罪判決を受けた。

 高松市では昨年9月、20代の母親が酒を飲むため駐車場に止めた車に6歳と3歳の女児を置き去りにし、2人が死亡した。福岡県では昨年4月に5歳の男児が十分な食事を与えられず餓死するなど、痛ましい事件が後を絶たない。

 県警は、子どもの泣き声や夫婦げんかなどで虐待が疑われる通報を受けると、警察官が必ず全ての現場を確認し事情を聴いている。また児童相談所に警察官を派遣しているほか、児相職員が虐待の疑いがある家庭を訪問する際に、管轄の署員が立ち会うこともある。県警の担当者は「事案に迅速に対応して子どもたちの安全をしっかりと守る。法に触れる行為は摘発する」としている。

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