新型コロナ・県内確認1年~医療界からの提言(1) 県医師会長・中目千之氏

2021/3/31 09:20
県医師会長・中目千之氏

 新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認、公表されて31日で1年となった。この間、コロナ以外の一般診療との両立、流行の第3波による医療現場の逼迫(ひっぱく)などさまざまな課題が浮き彫りになる一方、ワクチン接種が開始され、新たな局面も迎えている。累計感染者数は30日現在で915人に上り、千人に迫る勢い。県医療界を代表する関係者にインタビューし、課題解決への糸口を聞いた。

 ―県内は流行の第3波に入り、2桁台の感染確認が続いている。今後の感染状況をどう見通しているか。

 「第3波の感染拡大の要因は大きく分けて二つ。一つは宮城県、仙台市からウイルスが持ち込まれていること。二つ目は感染経路不明者が多くなり、特に山形市で市中感染が起きていることだ。今は宮城県との往来を可能な限り自粛すべきであり、市中感染に関しては会食を全面的に禁止するぐらい厳しい対応が求められる。県民の自粛への意識が緩んではいないだろうか。県独自の緊急事態宣言が山形、寒河江両市に出された事態を重く受け止めてほしい。慎重な行動を取らなければ感染は収束に向かわない。高齢者へのワクチン接種が始まる4月12日の週まで、ある程度収束できなければ、医師らが新型コロナの診断や治療で手いっぱいになり、円滑な接種が難しくなってしまう」

 ―県医師会を中心に昨年11月、かかりつけ医主体の検査態勢を確立した。診療・検査が対応可能な診療所、病院は357カ所(25日現在)に上り、県が目標とした300カ所を確保した。

 「県内の各地区医師会に県医師会と県が出向いて説明会を開き、インフルエンザとの同時流行に備えた態勢を整えた。今のところ大きな混乱は生じていない。第3波の状況下では山形市をはじめ村山地域での診療、検査が増えている。身近なかかりつけ医が新型コロナ疑いの発熱患者への対応に慣れていけば、発熱患者への診察時間を拡大するなど、より充実した診療・検査態勢となるはずだ」

 ―昨年末の感染拡大で病床が逼迫した際、県医師会が山形大医学部、県病院協議会に呼び掛け「やまがた医療緊急事態宣言」を発令した。旅行のほか、忘年会や新年会など飲食を伴う会合の自粛を求めた。

 「発令したのは現在の第3波と同じように病床が逼迫していた時期で、県立中央病院(山形市)では重症者のさらなる受け入れが難しくなっていた。医療現場が疲弊している事態を踏まえ、宣言を広く周知して県民の行動変容を促した。ただ、今は全国的な流れを含めて県民の“宣言慣れ”を懸念している」

 ―第3波の中で生じている課題は。

 「介護施設を利用する高齢者が新型コロナに感染し、病院で治療を受けて退院基準を満たしても、施設側が受け入れないケースが複数確認され、病床が回転しない状況が生じている。感染確認後に入院か、宿泊療養や自宅療養かなど、受け入れ先がすぐに決まらない『調整中』も急増している。このまま新規感染者数が2桁台で増えれば、感染が拡大している村山地域では新たな宿泊療養施設の確保が急務だ。県の基本方針ではこれまで感染者をいったん入院させてきたが、このような事態ではその方針に縛られてはいけない。自宅療養や宿泊療養の選択肢を上位に持っていく必要がある。県民もこうした対応に不満を抱かず、理解し受け入れなければならない」

 ―県独自の緊急事態宣言が出ている中、感染拡大をどう乗り越えていくか。

 「今の感染状況は明らかに流行の第3波で、第2波の勢いを既に超えている。県と山形市がいち早く緊急事態宣言を出したことを高く評価したい。村山地域の医療機関で病床使用率が8割を超えた時期もあり、病床に余裕がない。今後は2次医療圏(県内4地域)をまたいだ感染者の搬送、入院となるケースが増えるだろう。昨年12月から1月にかけて県民一人一人が心掛けて自粛した行動をもう一度思い返してほしい。県外に行かない、会食はしない、夜の街に出ない。これらを守れなければ、新型コロナに感染しても入院できない、親など大事な人の入院が遅れて命を落とすことも起こり得る」

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