心の防災力を高めよう 東日本大震災から10年、県民の体験談

2021/3/11 08:17

 東日本大震災の発生から10年に合わせ、寄り添うぶんちゃん取材班で、当時の県民の体験談を募ったところ、50件以上の投稿が寄せられた。停電や燃料不足に見舞われた経験から防災への意識を高め、後世に伝えようとの思いをつづっている。先月13日の地震で思いを新たにした人もいた。

 県内では2011年3月11日から約2日間にわたり、最大約53万戸が停電。暖房機器が使えず、石油ストーブで暖を取ったり、避難所に身を寄せたりした。不便さを体感し、山形市の40代男性は「キャンプ用品をそろえたり、家具に転倒防止措置をした」という。

 仙台市で被災した山形市の70代男性は立体駐車場に止めた自家用車を出せずに避難所で一夜を過ごした。停電で買い物にカード類が使えず、現金の必要性を感じたという。出先では平地に駐車するようになった。

 10年の月日を経て、風化を懸念する声も多かった。「最初はいろいろ準備したものの、時がたって意識が薄れてきた」(朝日町の60代男性)「以前よりは備えているが、それでも心配」(尾花沢市の50代女性)など。

 県自主防災アドバイザーの細谷真紀子さんは「災害時に必要なものは年代や性別などによって多種多様。自分に合った形を考えてほしい」とし、考え方としてチェックリストの一部を提示する=表。「毎年3月11日に、家族で地震のことを話す」と寄せた東根市の60代女性のように、まずは考える機会をつくることが第一歩になる。

◆地域・家庭の防災力チェック(取り組んでいない項目は実施を)

□ 住んでいる地域のハザードマップを確認したことがある

□ 災害時に家族間の連絡手段や集合場所を決めている

□ 近所にどんな人が住んでいるか知っている

□ 地域の防災訓練に参加したことがある

□ 非常持ち出し袋は災害状況によって分けている

□ 備蓄や持ち出し品の確認を定期的に行っている

□ 家具や家電の転倒防止対策をしている

細谷さんの持ち物。これら全てを黄緑色のポーチ(中央)に入れており、重さは500グラムほど

「日常維持」目安に検討―はっ水風呂敷、携帯トイレなど

 災害が発生した際、普段持ち歩いているバッグの中身で備えは十分だろうか。記者(30代女)のバッグを細谷さんに見てもらった。コロナ対策のマスクや消毒、予備の乾電池やバッテリーもある。事件、事故の現場も駆ける。それなりの準備ができていると思っていたが…。

 記者のリュックと重さはほぼ同じなのに、細谷さんの中身はコンパクトにまとまり、確かに便利そうな物がぎっしり詰まっている。最初に広げたのは、はっ水風呂敷だ。「かっぱにも、貯水タンクにもなり重宝しますよ」。傘よりも両手が空くし、用途が多様だ。

記者のバッグの中身。パソコンやカメラ、財布以外の持ち物として、それなりにそろえたつもりだったが

 さらに「携帯トイレは役立ちます。断水や停電になっても、生理現象は我慢できないですよね」。体調不良にもなりかねず、車内常備に加え、携帯用もあったほうがいい。記者も含め、車移動が多い人からは「必需品は車に積んでいる」という声が聞こえそうだ。ここで、細谷さんは警鐘を鳴らす。車内は高温や低温にさらされて、ビニールが劣化したり、食べ物が腐ったりするため、いざというときに使えないことがあるという。

 まだまだ未熟だった…。自信を失った記者に、細谷さんは「仕事に必要なものはそろっていますよ。あとは自分が快適に過ごすための備えを付け足して」と優しかった。会社内にいる時間が長い人は、デスク周りなどに備えてもいい。自分の日常を維持するため何が必要かを考える。それが「心の防災力を高める」ことだという。

 まずは自分のバッグの中身を広げてみては?

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