“コロナ打開の切り札”高まる期待 関係者「安心感、より良い治療」

2021/3/6 11:15
山形市立病院済生館で1人目の接種を受けた貞弘光章館長=5日午後2時2分

 新型コロナウイルス患者の治療などに当たる医療従事者に対するワクチンの優先接種が県内でスタートした5日、山形市立病院済生館では、接種の様子が報道陣に公開された。注射を受けた関係者は「仕事をしていく上で安心感につながる」「コロナ打開の切り札」などと期待感を口にした。

 済生館の1人目は貞弘(さだひろ)光章館長(65)。問診を受けた後、午後2時2分、院内の看護師が利き腕ではない左腕の上腕部に注射を打った。所要時間は数秒ほど。痛みはさほど感じなかったという貞弘館長は「感染者の入院を受け入れており、職員の不安はゼロではない。このワクチンが安心となり、より良い治療につながればと思う」とし、「多くの人が免疫を獲得し、ポストコロナの時代を生き抜いていきたい」と話した。

 続く看護師らは、現在の治療や投薬の状況、重いアレルギー症状(アナフィラキシーなど)の有無などを記入した予診票を提出し、医師による問診を経て注射を受けた。接種後は、15分間ほど観察し職場へ戻った。

 斎藤伸二郎副館長は「多くの人が接種を受け、これまでのような社会に早く戻ればと思う。県内でもコロナ打破に向けた第一歩を踏み出した」と期待した。作業療法士の50代女性は「たとえ感染しても重症化を防げると認識しており、現場で仕事をしていく上で安心感につながる」と話した。

 済生館では開始から約1時間半で155人分の接種が終了し、体調不良を訴えている人はいないという。

接種予定者「普通の生活に戻りたい」

 県内の医療従事者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの接種が5日、始まった。医師や看護師らは感染リスクの不安を抱えながら現場で従事しており、接種について「打っておいた方が安心」「早く普通の生活に戻りたい」と、ワクチン効果による感染収束への願いをにじませた。一方、感染対策への気の緩みを心配する声もあった。

 山形市内の病院に勤務する40代女性医師は「発熱や痛み程度の副反応は他のワクチンでもある。副反応で一時的に勤務できなくなる心配はあるが、感染リスクと副反応の弊害を比べれば、早めに打っておいた方が安心」と語る。今月下旬に接種予定の最上地方の20代女性看護師は「接種を希望しない同僚もいるが、自分は早く普通の生活に戻りたいので受けることにした」と話す。看護師という立場を考え、長らく美容室や実家に行っていない。「周囲に気を使ってばかりの1年だった。みんなの接種が終わったら、周りを気にせず買い物に行きたい」と小さな願いを口にした。

 置賜地方の病院に勤務し、感染患者の対応に当たった経験もある川西町の20代女性は「自身の感染を防ぎ、感染しても重症化のリスクが下がる点で安心感がある」とする一方、警戒するのは気の緩み。「ワクチンが広く普及し、集団免疫を獲得したといえるまでは対策を継続する必要がある」と訴える。

 今月中に接種予定の山形市内の女性看護師(31)は「長期的な副反応については分からないことが多いので不安はある」。一方で、感染者を受け入れる上では「抗体ができるため自分自身も安心できるし、家族への感染の心配が減る」と前向きに捉えた。

 ワクチンの今後の安定供給を心配する声もある。酒田市内で医院を開業している50代の男性医師は今月中旬にも、集団接種でワクチンを打つ予定だったが、供給が遅れ来月中旬になる見通しだ。「みんなが早く接種できるようにしてほしい」と願った。

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