待望…新たな選択肢 山形大センター、重粒子線がん治療開始

2021/2/26 07:41

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 重粒子線を使った体への負荷が少ないがん治療が25日、山形大医学部東日本重粒子センター(山形市)で始まった。日常生活を送りながらの治療も可能で、初日に照射を受けた2人目の60代男性は「痛みは全然なく、照射を受けている感覚がなかった」と感想を述べ、「がん患者にとって新たな治療の選択肢ができたことは朗報」と語った。

 この日は前立腺がん患者2人が、大型装置で加速した重粒子(炭素イオン)の照射を受けた。照射時間は1人目の60代男性が午前10時から2分9秒、2人目の60代男性が午前11時14分から2分7秒。このうち2人目が、リモートで感想を語った。

 男性は「治療室に入り、室内の明るい照明や音楽が流れていてリラックスできた。照射に臨む前は医師との打ち合わせがあり緊張して足に力が入らなかった」と振り返った。治療後の感覚では「肉体的に異常はなく、いつでも仕事ができる状態だ。痛みは全然なく、照射を受けている感覚もなかった。照射時間も長くなく、これなら受けて良かったと思える」と話した。

 同センターによると、男性は照射を前に、半年ほどかけて男性ホルモンを抑制する治療薬の投与などを続けてきた。前立腺がんの照射治療は週4回、3週間にわたり受ける予定。照射を終えた後も定期的に受診し、経過観察を継続していく。

 男性は「がんと告知された時、摘出手術が基本だと思っていた。手術をしない重粒子線がん治療が、山形大で受けられる日を心待ちにしていた」とし、「患者にとって新たな治療の選択肢ができた。朝、車で治療に来て、また車で帰宅して生活できる。そうした治療施設が、近くにあって良かった」と、先進的な医療を身近で受けられる喜びを語った。

 治療に当たった付属病院の佐藤啓放射線治療科長は「今まで東北・北海道でできなかった重粒子線がん治療が山形で可能になった。治療効果が高く、照射期間も短く、患者の体にとって負担が少ない医療。県内をはじめ東北に広めていきたい」と話した。

 重粒子線がん治療は一部で公的医療保険が適用され、骨軟部、前立腺、頭頸(とうけい)部が対象。年収などで自己負担上限額が決まるが、年収が約370~770万円の場合、公的医療保険が適用となる部位であれば固定具作成、コンピューター断層撮影(CT)、治療計画、照射を合わせた自己負担は9万5千円程度という。

 多様な角度から腫瘍が狙える「回転ガントリー」装置による治療は8月をめどにスタートする見通しで、肺や肝臓など対象部位は順次、拡大していく。

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