副知事再任案撤回、自民「再提案応じず」 県政クは「再任に向けて努力」

2021/2/25 09:32
本会議終了後、報道陣に副知事再任案の撤回理由を説明する吉村美栄子知事=午後4時21分、県議事堂

 否決濃厚だった人事案が24日、一転して撤回された。県議会2月定例会に提出された若松正俊副知事(65)の再任案。吉村美栄子知事の決断に最大会派の自民党は「再提案しても応じない」と態度を崩さず、県政与党の県政クラブは「再任への努力を続ける」と強調した。副知事の人事案を巡る攻防は、既に第2ラウンドが始まっている。

 人事案の撤回が両会派に伝えられたのは午後1時すぎ。議員全43人のうち26人が所属する自民は午前中の議員総会で、人事案に同意しない方針を改めて確認。本会議では、賛成少数で否決される可能性が現実味を帯びていた時だった。

 「県庁の人材は豊富。若松氏以外の名前が出ても良かったのではないか」。森田広代表は語気を強め、若松氏の再提案にもくぎを刺した。さらに「県側が副知事2人制を検討しているとの話を聞いた。理解できない」と口にした。

 対する県政クラブは、事態を深刻に受け止めた。「午前中は否決されることを前提に対応を考えていた」。木村忠三代表は、知事の撤回判断に驚きを隠さなかった。会派内では知事選の圧勝を背景にした主戦論も出たが「若松氏の続投をどうしても通そうという知事の気迫を感じる」などとして受け入れた。「コロナ禍で、実績のある右腕を失いたくないという吉村知事をバックアップしていく」。木村代表は改めて決意をみなぎらせた。

 午前中から両会派の議員総会が繰り返され、ようやくスタートした本会議が終了したのは午後4時すぎ。多くが足早に議場を後にする中で、ある若手議員はつぶやいた。「副知事の人事案はもちろん重要だが、コロナ禍に地震や豪雪など緊急事態の中で果たしてどれだけ時間を使うべきなのか」

県民のため議論進める時

 若松正俊副知事の再任案は、自民党が否決の姿勢を見せたことで撤回に追い込まれた。先の知事選で圧勝した吉村美栄子知事だが、県議会は少数与党という基盤の弱さが露呈した形だ。

 自民が人事案に同意しないとした背景にあるのは、知事選で浮かび上がった県と市町村との不協和音の要因に副知事の言動があったとする見方だ。ただ、自民推薦候補の陣営は、知事選中にビラなどで副知事の発言を問題視していた。選挙後の議会対応で強硬姿勢に出る兆しは見えていたといえる。

 吉村氏は若松氏を「余人に代えがたい」と表現し、行政手腕に全幅の信頼を寄せている。ならば事前に自民側と腹を割った話し合いが欠かせず、議会対策の甘さは否めない。選挙で40万票の支持を得た緩みを指摘する声も聞かれる。

 本県にとっては現在、ワクチン接種をはじめとした新型コロナの感染対策と経済再生の両立が最大の課題だ。県と県議会、そして市町村が一体となって臨むべき難局といえる。副知事の任期満了が来月10日に迫る中、吉村氏は2月定例会での再提案の可能性を否定しなかった。車の両輪と言われる執行部と県議会。双方が「県民のため」という基本姿勢を念頭に置き、議論を進める時だろう。

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