新型コロナウイルスのワクチン接種は、本県では来月上旬に医療従事者を対象に始まり、4月以降には高齢者をはじめとした住民接種がスタートする見通しだ。山形新聞社は住民接種の主体となる市町村に現在の準備状況を聞いたところ、22市町村が4月上旬の接種態勢にめどが立ったと回答。課題としては医師や看護師の確保を挙げる市町村が目立った。また国の情報が不足し、接種のスケジュールなどが流動的な状況に苦慮している実態も浮かび上がった。
新型コロナのワクチン接種を巡っては、65歳以上の高齢者への実施について、当初は4月の一斉スタートが想定されていたが、米ファイザー製ワクチンの確保量が限定的なことから、遅れる見通しとなっている。
こうした中、高齢者に対する接種を4月上旬に行うめどについて「立った」と答えたのは村山、大江、金山、最上、真室川、鮭川の6市町村、「おおむね立った」は山形や米沢、鶴岡、山辺など16市町だった。「立っていない」は南陽、中山、河北、高畠、川西、飯豊、遊佐の7市町で、「まったく立ってない」は新庄、大蔵、戸沢の3市村となった。政府が示す日程が流動的などとして、長井、舟形、白鷹の3市町は「回答できない」とした。
ワクチン接種の課題(複数回答)については「医師・看護師の確保」が21市町村で最多となり、「住民への情報提供」10市町、「地元医師会との連携」4市町村、「接種券の交付」3市と続いた。課題の解決に向けても複数回答とし、国や県からの情報を求める声が計30市町村で大半を占め、人的支援8市町、財政支援4市町だった。
接種方針を示した山形市は4月以降の65歳以上の高齢者について、原則的にかかりつけ医での接種とすることを決めた。医療機関にワクチンを配分するためコントロールセンターを設置し、必要本数などを一括管理し、配送する態勢を整える。
■ずれる日程苦慮
国や県に対する意見や要望では「接種日程がずれ始めており、事務作業がスムーズに進んでいない」(鮭川村)、「国の方針が短期間で二転三転するため、明確なスケジュールを打ち出してほしい」(最上町)など、主に国に対する不満が多かった。
市町村の枠にとらわれない柔軟な対応を求める要望もあり、川西町は「個別接種はかかりつけ医としているが、周辺の市町村に通院している町民も多い。自治体をまたいだ広域的な接種態勢を、県に主導してほしい」と注文を付けた。
■医師会との連携
多くの自治体が挙げた医師・看護師の確保に向けて鶴岡市は「どうしても確保できない場合に国などが調整する仕組みがあればいい」、東根市は「地元医師会の協力を確実に取り付けられるよう、国や県には医師会への働きかけをお願いしたい」とした。天童市は「集団接種に配置できる医師の協力がいかに得られるかが重要。シミュレーションはしているが、現場レベルの協議だけでは見えてこないものも多い」と課題を指摘した。
◆高齢者に対する接種を4月上旬に行うめど
【立った】
村山市、大江町、金山町、最上町、真室川町、鮭川村
【おおむね立った】
山形市、米沢市、鶴岡市、酒田市、寒河江市、上山市、天童市、東根市、尾花沢市、山辺町、西川町、朝日町、大石田町、小国町、三川町、庄内町
【立っていない】
南陽市、中山町、河北町、高畠町、川西町、飯豊町、遊佐町
【まったく立っていない】
新庄市、大蔵村、戸沢村
【回答できない】
長井市、舟形町、白鷹町
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