一、二審判決によると、蟹仙洞で所蔵していた鎌倉時代の「来国次(らいくにつぐ)」、南北朝時代の「備前国長船兼光(びぜんのくにおさふねかねみつ)」など3本が1991年に盗まれた。売りに出されているとの情報を得た男性が2014年、蟹仙洞に連絡した上で、同じ銘のある3本を計約1億2千万円で業者から購入した。
男性側は一審山形地裁の審理中に「よく似た別の刀だ」と主張するようになり、19年の判決はこれを認めて請求を棄却した。
二審仙台高裁は20年7月、違う刀だと認める証拠はないとした上で、蟹仙洞側が当初、男性の購入を了承していたとして「代金を提供せずに返還を求めるのは信義に反し許されない」と控訴を棄却していた。
蟹仙洞代表「真実追求されず残念」
蟹仙洞の長谷川尚志代表(52)は22日、山形新聞の電話取材に対し「結局盗まれた刀剣の在りかは分からず、諦めるしかない。真実が追求されず残念だ」とコメントした。盗難事件があった1991年当時に代表を務めていた療養中の父浩一さん(82)も悔しいだろうとした上で、「純粋に刀剣を愛する収集家だけでなく、盗品を元手に資金洗浄するような世界は理解できない」と語った。
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