二つの古道、幾多の歴史 仙台西部-山形間の地域誌が完成

2021/2/22 10:27
「山形側の記述をもっと盛り込みたかったのですが、分量が多すぎて…」と笑う加藤栄一さん=仙台市青葉区の自宅

 本県と仙台市西部を結ぶ二つの古道の歴史をたどった地域誌「仙台西部 宮城と秋保の歴史物語」(蕃山房(ばんざんぼう))を、仙台市の住民グループ・関山街道フォーラム協議会副会長の加藤栄一さん(85)が完成させた。近世からコロナ禍までをたどった力作。山形側の記述もあり、加藤さんは「仙山交流の盛り上げに生かしたい」と話す。

 仙台―山形の古街道は、愛子から作並を経る関山街道(現国道48号)と、秋保から二口峠を抜ける最上古道(二口林道)の2ルートがあった。加藤さんは旧宮城町議、合併後の仙台市議を務め、愛子や秋保の変遷に向き合ってきた。しかし議員勇退後、地元の歴史講座を受けてみると、伊達政宗の重臣や娘の館跡の存在など初耳のことばかりで「眼前が開けた」。地域誌作りの原動力になった。

 古道沿線の史跡や名所、学校、公共施設、企業などの成り立ちや推移を紹介。行政が作る市町村史並みの詳しさだが、簡潔にまとめ上げられている。自ら撮った写真、地図が添えられ、理解を助ける。

 愛子の地名について、安産や愛育を託した「子愛観音」が「愛子観音」になったとの由来を記し、天皇、皇后両陛下の長女愛子さま誕生を祝い駅前でパレードが行われたことを紹介。毎年百万人が参拝する定義如来の「定義」は「じょうぎ」の読みで通っているが、地元の高齢者は「じょうげ」と呼ぶという。戦時中に航空用ガソリンの原料を製造した工場跡地は、今は喫茶店で「おいしいコーヒーいかが」とPRも。

 山形側では、立石寺や風立寺をはじめ、高瀬地区については、紅花の里のほかアニメ映画「おもひでぽろぽろ」の舞台として取り上げ、天童古城の落城により、天童氏が多賀城に移り住んだ史実も盛り込んだ。

 仙台西部の歴史を網羅的に取り上げた本はなかったといい、同協議会長の平川新東北大名誉教授は「記念すべき地域誌になった」と賛辞を送る。「かつて二口峠は仙台と山形の『塩の道』だった」と加藤さん。「ヒト、モノ、カネの往来でにぎわった時代を呼び戻すためにも、相互の理解が必要」と話した。

 価格は1500円(税別)。問い合わせは蕃山房090(8250)7899。

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