児童文学「山が泣いてる」の原点 村山の射撃場題材、「ヘイタイのいる村」書籍化へ

2021/2/16 23:16
「山が泣いてる」の原作となる「ヘイタイのいる村」の書籍化に取り組む花烏賊康繁さん=上山市

 基地反対闘争に発展したた大高根射撃場を題材とした日本児童文学者協会賞の受賞作「山が泣いてる」の原作で、約60年前に新聞で連載された連載小説「ヘイタイのいる村」のスクラップが見つかり、山形童話の会(花烏賊康繁(はないか・やすしげ)代表)を中心に、書籍化の動きが進んでいる。刊行は来月の予定で、花烏賊さん(72)は「山形県はもとより、日本の児童文学界にとっても、埋もれさせてはいけない作品だ」と話している。

 「山が泣いてる」は、鈴木実さん(88)と高橋徳義さん、植松要作さん、笹原俊雄さん、槙仙一郎さんの村山地域の5人の日本初の共同創作による長編児童小説。終戦後に東根市の神町地域に米軍キャンプが、村山市の大高根、戸沢両地域にまたがる場所に射撃場が設置された。「弾道下の村」としての生活を強いられた子どもたちをテーマに、小説は描かれている。

 山形童話の会の機関誌「もんぺの子」第5号(1955年)から「ヘイタイのいる村」の掲載が始まり、1958(昭和33)年10月から中奥日報(いまの米沢日報)で計130回連載された。この連載を元に加筆・修正された「山が泣いてる」は60(同35)年に理論社から出版。翌年の第1回日本児童文学者協会賞を受けた。鈴木さん以外の4人は他界している。鈴木さんは「基地問題に真っすぐな目を向けた子どもたちの視点で描こうと考えた」と振り返る。

見つかった「ヘイタイのいる村」のスクラップ

 スクラップは、元々は高橋さんが所有していたという。新型コロナウイルスの影響で各種事業が滞ったことから、花烏賊さんが自宅の倉庫を整理していた昨年10月頃に段ボールの中から見つかった。方言の言い回しや文章の差し替えなどを校正した痕があり、「山が泣いてる」の出版に向けた様子がうかがえる。スクラップとともに、砲弾で倒れた木々や焼けた大地、破片を探す人たちの写真も発見された。

 村山市戸沢地域が出身地の花烏賊さんは、連載記事に目を通した上で「子どもは大人の従属物ではない。人格を持つひとりの人間と捉える価値観は現代にも通用する」と語る。

 「ヘイタイのいる村」は千部発行の予定で、2千円。問い合わせは花烏賊さん023(673)4665。

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