古里・浪江の道の駅で酒造り再開へ 長井に避難の鈴木酒造店

2021/1/25 21:09
古里の福島県浪江町で酒造りを再開させる鈴木大介社長(右)。左は現地の酒蔵で働く予定の茅根修一さん=長井市・鈴木酒造店長井蔵

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故を受け、福島県浪江町から避難先の長井市に移り酒造りを続けている鈴木酒造店が、同町の道の駅に新設される地場産品のPR施設で醸造や販売を手掛けることになった。長井に軸足を残しつつ、古里の玄関口で悲願だった酒造りを再開させる。鈴木大介社長は「町を代表するような、本当にいいものを造りたい」と決意を新たにする。

 同社は江戸時代創業の老舗。2011年3月の津波で酒蔵は流失し、原発事故の影響で避難せざるを得なかった。長井市で同年11月、廃業を検討していた酒蔵を受け継ぎ「長井蔵」として酒造りを続けてきた。

 浪江町が新設した道の駅は、敷地内に地場産品の魅力発信を目的とした施設を整備するのが特徴。同社の酒蔵と、地元の伝統工芸品「大堀相馬焼」の窯場が入居する。来場者が生産現場を見学でき、飲食や販売コーナーも設けられる。

鈴木酒造店が入居する道の駅の酒蔵(浪江町提供)

 同社が入るのは広さ約400平方メートルのスペース。生産可能な量は長井蔵の半分程度の2万本程度(1.8リットル換算)だが、精米を含めた最新設備が導入されているという。日本酒に加え、リキュール、甘酒などを試験的に生産する考え。日本酒の醸造開始予定は2月下旬~3月上旬。専任スタッフとして長井蔵で修業中の茅根(ちのね)修一さん(32)が担当し、鈴木社長らがサポートする。

 古里での酒造り再開は鈴木社長の悲願だった。「震災で浪江を離れた多くの人をつなぐ、懐かしさを感じられる酒を造りたい」とする一方、「品評会で評価され、大都市圏で認知されるものを生み出したい。それが浪江の酒米生産者の活性化にもつながる」とも。

 長井蔵での生産は継続する。「長井で続けてきたからこそ浪江で再開できる。長井蔵の酒を使った貴醸酒(水の代わりに清酒で仕込む酒)造りなど、二つの蔵を持つ利点を生かしていきたい」と意気込んでいる。

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