知事選、県内各地域の情勢

2021/1/19 13:43

[PR]
 知事選は新人の大内理加氏(57)と、現職の吉村美栄子氏(69)が24日の投票に向け、激しい舌戦を繰り広げている。山形新聞社が行った世論調査を踏まえ、県内各地域の情勢を分析し、票の行方を探った。(文中敬称略)

【山形】吉村氏、一歩抜け出す―大内氏、巻き返し図る

 吉村が現職の強みを生かして一歩抜け出し、大内が刷新を訴えて巻き返しを図る展開となっている。約20万6千人の有権者を抱える県内最大の票田で、両候補の地元でもあり、浮動票の獲得を巡って最終盤まで激しいつばぜり合いを演じそうだ。

 吉村は新型コロナ対策などの実績をアピールし、東部や南西部を中心に支持層を固めている。無党派層の多い中心部のほか、北部でも企業・団体の支援を足掛かりに浸透を図る。

 いずれも県議で旧社民の高橋啓介、無所属の吉村和武、立憲民主の原田和広をはじめ、支援市議、連合山形加盟労組が連日足場固めに奔走し、共産も県議渡辺ゆり子らが独自選対で活動。自民支持層は経済人による支援組織を軸に取り込みを狙う。最終盤に向けて市内を重点地域に位置付け、主に女性をターゲットに票の上積みも図る考えだ。

 大内陣営は支援する市議らの運動が活発化。自民県議の金沢忠一、奥山誠治、遠藤和典と共に足で稼ぐ「地上戦」を徹底し、選対本部長を務める衆院議員遠藤利明と、市長佐藤孝弘はともに後援会組織をフル回転させている。推薦する公明党県本部の代表菊池文昭も積極的に支援する。

 大内が県議時代から地盤とする北部に加え南西部などで攻勢を強めているが、新型コロナ感染拡大で組織的な運動が制限され、浸透しきれていない。現職批判の色をさらに強めており、無党派や若年層を取り込めるかが鍵となりそうだ。

【米沢・川西】吉村氏、安定した戦い―大内氏、国とのパイプ強調

 米沢市は現職の知名度を生かして吉村が安定した戦いを見せ、大内が組織力で追う展開となっている。大激戦となった2019年の市長選と同様、市議の支持は真っ二つに分かれており、それぞれ票の上積みを図っている。

 吉村は県議木村忠三を中心に運動を進め、元衆院議員で市長選に転じた近藤洋介も陣営内でフル回転している。経済、農業関係者から支持を広く集め、共産を含む非自民系をまとめながら、一部、保守層にも浸透している。

 大内は知名度不足を払拭(ふっしょく)するため子育て政策などのアピールに懸命だ。衆院議員鈴木憲和と県議の渋間佳寿美、相田光照を軸に国とのパイプ役を果たす自民系知事の必要性を訴える。市長中川勝の支持も得て自公票固めに力を入れる。

 川西町では吉村が知名度を生かし先行。義父の出身地である玉庭地区を中心に運動を展開し、町長原田俊二と町議6人の支援を受ける。大内は県議舩山現人と保守系町議7人の支援を受け、巻き返しを目指す。

【長井・西置賜】大内氏、批判票掘り起こし

 吉村が全域で優位に立ち、大内が組織戦で巻き返しを図っている。

 吉村は経済界や農業関係者などの幅広い支持を受け、4市町で着実に地盤を固めている。長井市は地元の主な建設業者が全面支援するほか、後援会も支持固めに余念がない。支援市議は相手陣営を上回る。白鷹町は白鷹大橋完成の実績をてこに、地元の県議青木彰栄が他市町も含め精力的に動く。飯豊町は町長後藤幸平が強く支持し、小国町と共に地元後援会や非自民の町議、各種団体などが支援の輪を広げている。

 大内は、衆院議員鈴木憲和や県議五十嵐智洋をはじめ、自民の各市町支部を核とした組織的な選挙戦で対抗。建設業や製造業などの自民支持者に働き掛けを強める。地域内で公明支持者が多い長井、白鷹を中心に浸透を狙う。長井市長内谷重治や元県議平弘造が応援に加わり、現職批判を展開するなど、現県政に不満を持つ有権者の掘り起こしに努める。知名度不足を解消し切れておらず、終盤に向けててこ入れを図る。

【上山・天童・東村山】天童、上山で競り合い―東村山、吉村氏を大内氏追う

 天童市は大内と吉村が競り合う展開となっている。大内は衆院議員遠藤利明や市長山本信治、県議の森谷仙一郎と矢吹栄修、自公系市議を軸に運動を展開し、支持が農業・企業関係に広がってきた。吉村は後援会関係の固い支持層のほか、立憲民主や共産などの支持者が運動の中心。自民への批判票の取り込みも念頭に支援を訴えている。

 上山市は吉村と、地元出身の遠藤が全面支援する大内が激しく競り合っている。吉村は非自民系市議5人がバックアップし、前県議の佐藤昇も後押しする。高い知名度を生かし浮動票や自民支持層の一部も取り込んでいる。大内は遠藤後援会と県議遠藤寛明、市長横戸長兵衛、保守系市議10人が運動の軸。厚い布陣も当初動きは鈍かったが、ここにきてエンジンがかかり始めた。

 山辺、中山両町は吉村を大内が追い上げる構図だ。吉村は山辺町長遠藤直幸、中山町長佐藤俊晴の推薦を得た。民主系の町議が中心となって支持固めを進めている。大内は遠藤利明後援会のほか、県議鈴木孝、自民両町支部、自民系町議が核となり、組織戦を展開。吉村の多選への批判票獲得も狙う。

【南陽・高畠】現職が強みを発揮―新人は組織戦展開

 南陽市、高畠町ともに現職の強みを発揮する吉村がリードしている。

 吉村は参院議員舟山康江や芳賀道也の支持者を中心に運動を進め、南陽市議8人、高畠町議5人の支援を受ける。農業関係者や女性層に支持を広げる一方、南陽市では豪雨対策の河川改修などの実績もアピールし、浸透を図る。衆院県2区に出馬予定の国民民主新人加藤健一も支持する。

 国とのパイプや人口流出対策の重要性を強調する大内は、地元の衆院議員鈴木憲和を中心に市長白岩孝夫、町長寒河江信、県議の島津良平、柴田正人、市議7人、町議10人による組織戦を展開。厚い布陣だが、新型コロナの影響で運動が思うようにできず、浸透し切れていない。

【酒田・飽海】吉村氏、支持固め着実―組織力に加え有力企業支援、大内氏追い上げ図る

 現職の強みを生かし吉村が優位に立つ。大内は自民、公明の組織力に加え、有力企業の支援を受け、追い上げを図っている。

 酒田市で吉村は立憲民主県連代表の石黒覚、阿部ひとみ、佐藤藤弥ら前・現県議が運動の軸となっている。街頭演説などでは新型コロナ感染の収束後を見据え、クルーズ船誘致による観光振興、酒田港整備などの重要性を強調。女性支援者が結束を強め、非自民票を手堅くまとめる。労組系や共産の支援市議らの地盤で支持固めを着実に進めており、今後、市中心部のほか農村部での浸透も狙う。

 大内は衆院議員加藤鮎子、市長丸山至、森田広、星川純一、梶原宗明ら自民県議と自公会派の市議、有力企業が支える。加藤と連動した運動で保守票を積み上げているが、浸透しきれていない。インフラ整備の遅れなどを「内陸偏重」と指摘し、経済界や若年層などの現職批判票の取り込みを狙う。16日に市中心部で開いた決起大会での盛り上がりを最終盤での巻き返しにつなげる考えだ。

 遊佐町では町長時田博機の支持を受け、農業票を含めて全域で吉村が優勢。大内は自民系町議が支えているが、先行を許している。

【鶴岡・田川】知名度で吉村氏先行―大内氏、組織力生かし追撃

 知名度に勝る吉村が先行、大内が自民、公明両党の組織力で追い上げている。

 鶴岡市で吉村は、市長皆川治、非自民県議高橋淳、今野美奈子、同系列の市議、労組が中心となって支持を固め、共産も県議関徹らが活発に動いている。12日の市中心部2カ所での街頭演説で、各組織が動員をかけるなどして一層の浸透を図った。藤島など旧町村や観光業界、中心部の保守層にも食い込む。

 大内は自民の県連会長の衆院議員加藤鮎子、県議の志田英紀、佐藤聡、自公の各市議を軸にした戦いを展開。旧市や沿岸の地域で保守票を基礎に支持を拡大し、建設業界などでも票を確保しているが、知名度不足を解消しきれていない。16日に鶴岡田川総決起大会を開き、終盤に向けて追撃ムードを高めた。

 庄内町は吉村が優勢となっている。県町村会長の原田真樹やJA関係者の支援を受け、非自民系町議らの地盤をほぼまとめた。大内は県議田沢伸一や自民系町議が支え、旧立川地域では優位に戦いを進める。

 三川町では自民系、非自民系の町議がそれぞれの陣営を支えており、知名度の高い吉村が一歩リードしている。

【北村山】大内氏、集会契機に活発化

 全域で吉村が先行し、大内が追い上げる展開となっている。

 東根市は、自民県連幹事長などを務めた市長会長土田正剛が「中立」の立場を強調しており、吉村がこれを自身に前向きなメッセージと捉えて一部自民支持層を取り込んでいる。大内は告示後、衆院選県2区の市町では唯一、2回の個人演説会を開催するなど注力。17日の集会を契機に陣営の動きは活発化している。

 村山市は吉村が県議菊池大二郎の積極支援を受けて優位に立つ。大内は元県議能登淳一や保守系・公明党市議のサポートを受けて浸透を目指す。両陣営とも中心部の楯岡地区を決戦場と位置付ける。

 尾花沢市と大石田町も吉村が優勢。尾花沢市長菅根光雄、非自民系の議員らが活発な動きを見せる。大内は保守系議員の支援で自民、公明の支持層固めを進め、終盤に攻勢をかける。

【寒河江・西村山】吉村氏、全域でリード

 吉村が出身地の強みを生かして全域でリードしている。大内は中盤以降、追い上げている。

 吉村は県議松田敏男と非自民系市町議らが中心になって支持を広げており、出身地の大江町で強さを示し、西川町でも優勢だ。自民支持層が厚い朝日町でも手応えを得ている。JA関係者や農家の支持も幅広く獲得しているものの、浮動票が多い寒河江市や河北町では支持者に楽観論が広がったため、最終盤にかけて引き締めを図っている。

 大内は県議の小野幸作、楳津博士、自民系市町議が核となって支持固めを進めているが、序盤に寒河江市で動きが鈍いなど地域内で温度差も垣間見える。17日に個人演説会を開いた河北町では攻勢に出ており、寒河江市で現職批判票をどれだけ取り込めるかが巻き返しの鍵となりそう。20日に1市3町で開く個人演説会で勢いを付ける構え。

【新庄・最上】反転攻勢を狙う大内氏

 全域で現職としての実績が浸透し、吉村が優位に立つ。大内は自民支持層をまとめ、反転攻勢を狙うが、厳しい状況だ。

 吉村は7町村長と県議山科朝則に加え、市町村議は非自民系に一部自民を取り込んだ陣立て。労組、女性組織も加わり、最上地域で開通見通しが立った東北中央自動車道、県立新庄病院の改築、準備が進む東北農林専門職大学(仮称)開学などの実績をアピールし、農業票を含めて支持を広げる。新庄市をはじめ、元自民参院議員・故岸宏一の地元金山町など郡内でも存在感を発揮している。

 大内は衆院議員加藤鮎子、新庄市長山尾順紀、自民県議の坂本貴美雄、伊藤重成、小松伸也、さらに自民、公明の市町村議が積極的に支援しているが、両党支持層を固め切れていないのが現状だ。知名度不足が解消されておらず、浮動票の取り込みでも後れを取る。コロナ禍で建設業を中心とした自民支援企業などの動きにブレーキがかかっており、組織力は十分に機能していない。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]