知事選、現場の思い(3) 女性の活躍

2021/1/14 14:51
ハローワーク主催の就職支援セミナー。県内女性の就業意識の高さを県内定着に結び付ける施策が求められる=山形市

 「山形は車がなければどこにも行けない。働きたいと思う会社もない」。最上地方で生まれ育った女性(19)は昨年3月に新庄市内の高校を卒業し、首都圏の企業に就職した。新型コロナウイルス禍で自宅と職場を往復するだけの毎日は、憧れていた都会暮らしにほど遠い。それでも「毎日が楽しい。将来地元に戻るかどうかは分からない」と話す。

 少子高齢化が進み、本県の若年女性(15~49歳)の人口は2008年の22万4719人から18年に18万7675人まで減少。さらに、県外に転出する女性全体に占める15~29歳女性の割合は19年に58.1%に上り、全国で最も高いことが総務省統計で明らかになった。若者の県内回帰、定着を目指す関係者は「衝撃的だった」と驚きを隠さない。

 就職・転職を支援するキャリアクリエイト(山形市)の浅野えみさん(41)も衝撃を受けた一人だ。県内の高校などで進路について助言する中で、女子生徒が山形で働く自分の姿を描けていないと感じてはいた。「生き生きと活躍している女性が身近にいないようだ。親がどんな仕事をしているのかを知らない人もいる。それが(県外転出に)影響しているのかもしれない」

 「就職活動の際、山形で働くイメージを持てなかった」。山形市の三ケ山香織さん(37)は東京の大学に進学し、そのまま都内で就職した。結婚を機にUターンして2児を育てながら働くうちに、ようやく県内の魅力的な企業が見えてきた。「中学、高校のうちに知っていれば、新卒での県内就職が選択肢にあったかも」と振り返る。

 賃金や待遇面でも課題が見えてくる。厚生労働省によると、本県の女性の平均賃金は青森県とともに全国最下位。県の就業構造基本調査(17年)は、県内で就労する女性の47%が非正規雇用で、その約7割がパート、アルバイトとして働く実態を示す。ほとんどは年収200万円未満だ。

 鶴岡市の福島裕子さん(39)は第2子出産を機に10年以上続けた保育士を辞めた。今は在宅ワークで東京の会社の事務を請け負っているが、「非正規は給与が低く、税金が引かれると手元にほぼ残らない」と顔を曇らせる。

 ただ、本県女性(生産年齢人口)の仕事をしている人の割合を示す有業率は17年に74.3%と全国で3番目に高い。県は21年度に女性専用の就職情報サイトの新設や、「オンライン100人女子会」(仮称)の開催などを検討。若者が県内に戻ってこられるような環境を整える産学官協働の「サクラマスプロジェクト」は3年目を迎えた。

 有業率から浮かび上がる就業意識の高さや、県などの取り組みを女性の県内回帰、定着にどう結び付けていくか―。「高校と企業、地域、家庭をつなぎ、本県の魅力的な職場や働く人を伝える必要がある」。浅野さんは女性たちが進学や就職で県外に出ても、いずれは山形に戻りたいと思える土壌づくりの大切さを訴える。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]