知事選、現場の思い(1) コロナ禍の経済対策

2021/1/12 09:45
行き交う人影がまばらなJR山形駅前。飲食業界は苦境が続いている=山形市香澄町1丁目

 12年ぶりの選挙戦となった知事選。現職、新人の両候補は本県が直面する課題に関して公約を掲げ、県内各地で舌戦を繰り広げている。その訴えは有権者にどう響いているのか。新型コロナウイルス禍の経済対策や農業振興、女性活躍などについて、現場の声を聞いた。

 「正直、先が見えない」―。新型コロナウイルスの感染拡大で、飲食・宿泊業はかつてない苦境に立たされている。最大の書き入れ時である年末年始も客足は戻らず、長期化するコロナ禍の中で活気はない。行政が感染防止策として外出や会食の自粛を呼び掛けるたびに事業者からは悲鳴が漏れる。

 県内最大の繁華街である山形市のJR山形駅前。例年ならば年末年始は帰省客など多くの人でにぎわうが、今季は忘年会シーズンから静まり返っている。約200店が加盟する山形駅前はながさ通り飲食店組合理事長の酒井貞昭さん(55)は「年末年始は30~40店が店を閉めたままだった」と話す。自身の店も12月の売り上げは昨年の3割弱にとどまったという。

 会社を守るために借り入れをしても収束の時期は見えず、経営的にも精神的にも負担が重くのしかかる。県は先月、夜間営業の飲食店などに一律の給付金支給を決めた。「出してくれたことはありがたい」と酒井さんは話すが、一律の対応には疑問もある。「前年の売り上げに応じて給付額を決めるなど現場を見た施策が必要ではないか」

 宿泊業界への打撃も大きい。県旅館ホテル生活衛生同業組合の佐藤信幸理事長(67)は、学校関係やスポーツ合宿などの団体客を中心としてきた宿泊施設は特に厳しい状況だと説明する。個人客対応への移行がうまく進まないからだ。当面は感染拡大を抑えるため我慢の時期だとした上で「県が全国に先駆けて行った割引クーポン事業は効果的だった。今後も臨機応変な支援策を展開してほしい」と要望する。

 スキーと樹氷でハイシーズンを迎えている山形市の蔵王温泉は、昨冬の記録的少雪、コロナ禍と2季連続の逆風にさらされている。インバウンド(海外からの旅行)の人の流れは完全に止まり、廃業を検討する動きも出ているという。蔵王温泉観光協会長の伊藤八右衛門さん(72)は、首都圏に発令された緊急事態宣言の影響を懸念する。経営する3軒のホテル・旅館では、今月に入りキャンセルが相次ぐ。

 飲食・宿泊業の取引先は食材納入業者や酒販店、生産者などと幅広く、負の連鎖を危惧する声もある。「このままでは地域経済が崩壊しかねない」。展望が描けない現状に関係者たちの危機感は募る一方だ。

 伊藤さんは顧客が満足できるサービスを維持するため、雇用は守ると決めている。全国知事会が雇用調整助成金の特例措置延長を政府に提言し続けていることを挙げ、次の4年間を担う県のかじ取り役に、こう求めた。「各地域の実情をくみ取り、国に対する情報発信に力を発揮してほしい」

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]