おでんの「軽トラ屋台」始めました 米沢の高梨さん、街に活気を…一念発起

2021/1/8 10:47
軽トラックのおでん屋台「どだなや」。コロナ疲れに陥っている現代だからこそ、「3密」を気にしない憩いの場を目指す=米沢市

 「3密」を回避し、ゆっくり「飲める場」を提供しようと、米沢市内で居酒屋などを経営する高梨康太さん(37)=同市中央1丁目=が軽トラックでおでん屋台を始めた。新型コロナウイルスの影響で、多くの人がヘトヘトになっている。「本来、飲み屋は、こうした市民のストレスを解消する場なのに…」。活気が失われていく町の現状に忸怩(じくじ)たる思いを持ち、一念発起した。

 発想のきっかけは子どもの頃、テレビドラマで見たワンシーン。おでん屋台で中年男性がコップ酒を飲みながら、しみじみと熱々のおでんを味わう様子が忘れられず、いつの時代もこんな「大人のオアシスが必要」との思いを持っていた。誰もがコロナ禍の中で心身をすり減らしている現代だからこそ「気持ちを落ち着かせる場が絶対にいる」。使命感に駆られた。

地元の寒中野菜

 軽トラックは仕事で使用していた愛車を活用した。去年10月には荷台に載せるキッチンスペースを市内の業者に依頼し、木造で仕上げてもらった。装備品の用意は順調に進んだが、苦労したのは保健所への申請。何しろ前例がない。

 「焼き鳥やラーメン屋台は実例が多くあるので、手続きは割とスムーズに進むそうだが」と振り返る。水回りの衛生環境チェックはもちろん、おでん鍋がちゃんと沸騰するのかどうか、換気扇、冷蔵庫の電源などなど。計10回ほど保健所を行き来した。すべてが整ったのは11月末、おでん屋台を始めるには「最高の時季」になっていた。

 高梨さんがおでん屋台を選んだのには、もう一つ理由がある。それは、飲食業界の落ち込みで、農産物の需要も大幅に減少していることだ。特に雪の中に野菜を入れて甘みを増やす寒中野菜はこれからが旬。おでん種の横綱ともいえる大根はその最たるものだ。「多くの農家が困っていると聞く。少しでも消費拡大の機運を盛り上げていければと思う」と語る。

憩いの場を提供

 現在は会員制交流サイト(SNS)で営業を予告しているほか予約も受け付けている。既に何度か依頼を受け、出張営業した。暗闇に4人掛けのいすと赤ちょうちん―。非日常的な雰囲気に「こういう場が欲しかった。子どもにも見せてあげたい」「つらいことばかりだが、あすも頑張れる」と評判は上々という。

 店名は「どだなや」。内陸地方で使われる方言だ。温かみを感じる響きが気に入っている。「コロナ時代となり、飲食業は大きく変わる。何とか適応し、これまで通りお客さんに憩いの場を提供していきたい」と決意を語った。

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