古里の空に、描く夢 空自「ブルーインパルス」13代隊長・遠渡祐樹さん(三川出身)

2020/11/28 11:00
ブルーインパルスの13代目隊長に就任した三川町出身の遠渡祐樹2等空佐=酒田市・庄内空港

 航空自衛隊のアクロバット飛行部隊「ブルーインパルス」で、13代目飛行隊長を務める三川町出身の遠渡祐樹(えんとゆうき)2等空佐(41)が27日、古里の同町や高校時代を過ごした酒田市などを訪れた。就任のあいさつをするとともに広報活動への協力を要請し、「古里の空でも飛び、見た人たちが勇気や希望を持ってもらえればうれしい」と故郷への思いを語った。

 「空への憧れを抱いた原点の場所」。遠渡飛行隊長は幼い頃に飛行機や空を眺めていた庄内空港を訪れ、部隊を率いる決意を新たにした。

 ブルーインパルスは航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)に所属し、正式な部隊名は第4航空団第11飛行隊。元々は戦闘機の能力を最大限に引き出し、有事に生かす技術を研究するために設立されたが、今はアクロバット飛行専門で広報活動が主な役割だ。

 飛行隊には昨年4月に配属された。配属期間は3年間。「優秀でも希望が通るわけではない。卓越した飛行技術はもちろんだが、社交性と熱意、あとは運があることが重要」と笑う。

 展示飛行は6機編隊で行われる。遠渡隊長は配属時、隊長候補者の隊長付として加わった。1年目は訓練を積みつつ、本番は1番機の後席でリーダーとしてのノウハウを学んだ。2年目の今年6月、13代目の隊長に就任。1番機の操縦かんを握る。

 今年、東京五輪・パラリンピックの開会式で上空に五輪マークを描く構想もあったが、新型コロナウイルスの感染拡大で大会が延期され、実現しなかった。だが、日本各地がコロナ禍にあえぐ中で5月29日に東京都心上空を飛び、最前線で奮闘する医療従事者らのため白いスモークの筋を描いた。「飛行中は安全に任務を終えることを考えていたが、勤務先だった防衛省やなじみがある東京の空を飛び、多くの人に勇気を与えられたのではと思うとうれしかった」と振り返る。

 同隊の主な演目は30種類。中には1964(昭和39)年の東京五輪当時に考案されたものも継承している。1~6番機はそれぞれ役割が異なり「代わりが効かない。それぞれ自分以外の機体の動きはできない」という。隊長の仕事は正確な場所に編隊を導き、スモークを出すタイミングなど的確な指示を出すこと。展示飛行を成功させるための最も重要な役割を担う。

 98年の長野冬季五輪開会式でも本県出身の阿部英彦さんが隊長を務め、式典に花を添えた。来年の東京五輪開会式での展示飛行に注目が集まるが、まだ正式決定はしていない。遠渡隊長は「もし飛べることになれば、精いっぱいやり遂げたい。できれば任期中に、古里の空でも訓練の成果を披露したい」と夢を語った。

三川、酒田を訪問

 遠渡隊長は、古里の三川町で阿部誠町長と、また酒田西高に通ったゆかりのある酒田市で丸山至市長と、それぞれ懇談した。

 飛行隊ではパイロット以外にも、機体の整備員、飛行計画などの管理要員として本県出身者2人が配属されていることを紹介した遠渡隊長。両市町では、3人が写った自衛隊山形地方協力本部のポスターや、ブルーインパルスで使用する機体・T4の操縦席に座る遠渡隊長の写真が使われた広報用ポスターを手渡し、東京都心上空を飛んだ際の写真もプレゼントした。

 同隊の展示飛行は大きなイベントのほか、自治体の要望に基づいて実施されるケースもある。丸山市長は「隊長が生まれ育った庄内地域にブルーインパルスが来られるよう、周辺市町と相談したい」と話した。

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