あのSL、「鬼滅の刃」の… 山形市の公園に同型式保存

2020/11/14 21:35
大人気のアニメ映画「鬼滅の刃」無限列車編で登場するSLと同型式の8620型が山形市第二公園に保存されている

 破竹の勢いで観客動員数を伸ばしているアニメ映画「劇場版『鬼滅(きめつ)の刃(やいば)』無限列車編」。作品中に描かれている「無限列車」は、アニメの舞台である大正時代に造られた蒸気機関車(SL)が引く客車列車がモデルとなっており、これと同じ型式のSLが意外にも身近にある。山形市の第二公園(十日町4丁目)に半世紀前から保存されている旧国鉄の「8620形」だ。

 SL「8620形」は、型式番号から「ハチロク」の愛称で呼ばれる。全長が16.8メートル、高さ3.8メートル。水と石炭を満載にした重量は83.3トンになる。県内でも奥羽本線などで多くの旅客を運んだ、県民になじみの深いSLだ。同公園の8620形は1923(大正12)年製造の552号機。廃車となった69(昭和44)年に市政施行80年記念として、旧国鉄から市に移管された。同じように8620形は全国に10台超が現存しているという。

 映画のパンフレットで資料集めに苦労したと記されているSLは、ナンバープレートに「無限」と表示されているが、同公園のSLは「68691」のプレートを掲げる。これは、旧国鉄の前身・旧鉄道省が保有するSLに1台ずつ、型式と製造順を数字で組み合わせた個別の番号を割り振ったからだ。後の時代のSLは動輪数で型式名が決められ、3輪はC形、4輪はD形(D51など)と表示されるようになった。

 また、映画と第二公園のSLは見た目も若干違う。公園のSL前頭部には煙を上部に流す鉄板(デフレクター)があるが、製造当時にはなく後年取り付けられたため、映画では描かれていない。また煙突やヘッドライトの形もわずかに異なり、鉄道ファンや鬼滅ファンには見比べて違いを探す楽しみもありそうだ。

ヒット中の映画「鬼滅の刃」に登場するSLと同型式の8620形が、山形市第二公園に保存されている=同市十日町四丁目

 SLの多くは数十年前に廃車となり、解体を免れて全国で保存されてきたSLも手入れを行う人材や資金の不足から、ここ数年は腐食と老朽化で解体が急速に進んでいるという。そんな中で第二公園の8620形は雨よけの屋根もあり、傷みはあるが比較的、保存状態は良いと言えそうだ。

 映画を観賞した後に実物のSLに触れると、闇を裂いて走る「無限列車」の世界に引き戻されるかもしれない。公園を訪れていた親子は「映画を見たばかりだけど、公園のSLと同じとは気がつかなかった」と驚きながら、黒い巨体を見上げていた。

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