“強いクモ糸”構造再現に世界初成功 慶大先端研(鶴岡)など

2020/11/5 11:54
(上)シルクタンパク質が形成する液液相分離の蛍光顕微鏡写真(下)蛍光顕微鏡で確認された網目状の繊維「マイクロフィブリル」(理化学研究所提供)

 慶応大先端生命科学研究所(鶴岡市)と理化学研究所などは4日、クモが出す糸の中でも強じんな「牽引糸(けんいんし)」について、シルクタンパク質によって糸が形成される過程を解明し、繊維構造を人工的に再現することに世界で初めて成功したと発表した。天然クモ糸と同様の特性を持ち、環境への負荷が少ない素材の開発につながることが期待される。

 クモ糸は軽量で強じんな特長から、高強度構造材料など幅広い分野への応用が期待されているが、天然の紡糸の詳しい仕組みは分かっていなかった。今回、同研究所の荒川和晴准教授らの共同研究グループは、ジョロウグモの牽引糸の主成分であるシルクタンパク質に着目。組み換えた遺伝子を大腸菌に入れ、同じ化学構造を持つシルクタンパク質を発現させて、解析を進めた。

 その結果、シルクタンパク質が、大きさ0.1~10マイクロメートル(1マイクロメートルは千分の1ミリ)の無数の球状の塊となる「液液相(えきえきそう)分離(ぶんり)」を経て、網目状の微少な繊維「マイクロフィブリル」を形成することが分かった。さらに、一定の力を加えてマイクロフィブリルを束状に集めることで、天然の牽引糸に見られる階層構造が再現できた。

 研究成果は米オンライン科学雑誌「サイエンスアドバンシズ」に掲載された。荒川准教授は「自然界の現象を科学的に理解することで、より天然に近い物性を示すことができる」とし、自然由来の素材開発が持続可能な社会の形成に役立つとしている。

 一方、人工クモ糸を巡っては、同市のバイオベンチャー・スパイバーが、多様な特性を持つ構造タンパク質素材の量産に取り組んでいる。

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