孤立防ぎ、再犯させぬ 山形地検と山形市社協が支援

2020/10/28 22:13
内閣総理大臣表彰を受け、菅義偉首相と記念撮影する山形市社会福祉協議会の鞠子克己会長(2列目右から3人目)=16日、首相公邸(法務省ウェブサイトから)

 二度と過ちを起こさせない-。山形地方検察庁と山形市社会福祉協議会はタッグを組み、2018年から再犯防止活動に力を入れている。万引を繰り返す高齢者、薬物乱用者…。それぞれが抱える課題を見つけ、生活保護費受給の手助けや住まいの確保など「衣食住」を整え、再起への糸口を探る。今月16日には安全安心なまちづくりに貢献したとして、市社協が内閣総理大臣表彰を受けた。

 「何度も家に来てくれた方ですね」。逮捕された50代男性が留置施設で発した言葉だ。食べるものに困って万引した男性宅を、山形市社協の「福祉まるごと相談員」は度々訪れていた。民生委員から「ごみ屋敷のようになっている」との通報を受けたからだ。一度も会うことはできなかったものの、名刺や手紙を繰り返しポストに残していた。

 男性は数年前まで父母と兄家族の計6人で暮らす会社員だった。しかし父母と兄が立て続けに亡くなり、1人暮らしになって引きこもる。経済的に困窮し、自家用車も車検切れ。光熱費を滞納し、公園で水をくんでいた。男性は窃盗容疑で逮捕、起訴され執行猶予判決を受けた。社協の手助けで生活保護を受け、就労への一歩を踏み出している。

 服役後の就労を助ける「出口支援」に対し、不起訴や執行猶予判決を受けた人への手助けは「入り口支援」と呼ばれる。16年施行の再犯防止推進法で、各地に広がり始めた。山形では地検や社協が、本人や家族とともに「ケア会議」を開き、社会復帰に向けた動きを検討する。必要に応じて弁護士や精神科医、民生委員なども加わり10人ほどの会議になることも。「支えてくれる人がいる」と感じ、前に進む力となるという。

 「軽微な段階で芽を摘むことが重要だ」と地検の舩山雄司副検事は強調する。県内の再犯者率は46.8%で、全国の48.8%より低いものの上昇傾向だ。犯罪者に共通するのが「孤立」で、再び罪を犯さないためには周囲の支援が不可欠という。実際に、この3年で入り口支援をした人の再犯率は約10%と成果が見えている。

 山形市社協は16年から生活に困った人への「福祉まるごと相談事業」を立ち上げ、どんな相談も断らない方針を掲げている。8050(はちまるごーまる)と言われる高齢者の親と引きこもりがちな中年の世帯や、困窮する1人暮らし世帯など助けを必要とする人を想定。適した支援を共に考え、役所などへの付き添いも行う。江部直美地域福祉課長は「誰しも孤立する可能性があり、入り口支援も特別ではない」と話す。犯罪者も含め対象を選ぶことなく、市民の困り事への支援を続けていく。

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