一戸(山形中央高出)V譲らない 全日本距離別Sスケート

2020/10/24 10:43
男子5000メートルで優勝し、拳を握る一戸誠太郎(ANA・山形中央高出)=エムウエーブ(代表撮影)

 スピードスケートの全日本距離別選手権は23日、長野市エムウエーブで開幕し、男子5000メートルは日本記録を持つ一戸誠太郎(ANA・山形中央高出)が6分25秒85で2年ぶり2度目の頂点に立った。女子500メートルは平昌冬季五輪覇者の小平奈緒(相沢病院)が37秒73で6年連続11度目の優勝を果たした。

 男子500メートルは村上右磨(高堂建設)が34秒72で4年ぶり2度目の制覇。日本記録保持者の新浜立也(高崎健康福祉大職)が34秒91で2位、35歳の加藤条治(博慈会・山形中央高出)は35秒48で17位だった。女子3000メートルは押切美沙紀(富士急)が4分7秒88で初優勝し、小坂凛(三重県スポ協・山形中央高出)が4分13秒88で5位、ウイリアムソン・レミ(大東大・同)は4分16秒40で7位。男子5000メートルでウイリアムソン師円(日本電産サンキョー・同)が6分34秒83の8位、森野太陽(日体大・同)が6分41秒15の9位だった。

【ヒーロー】接戦の男子5000、最後は気持ち

 接戦となった男子5000メートルで、中長距離陣のエースがそう簡単に主役を譲るはずがなかった。2年ぶり2度目の頂点に立った一戸誠太郎(ANA・山形中央高出)だ。ラスト400メートルで一気にペースを上げて土屋陸(日本電産サンキョー)との競り合いを制し、「今季初戦で優勝できたことは自信になる」。フィニッシュラインを滑り抜け、力強く拳を握りしめて喜びに浸った。

 勝因を挙げるなら、間違いなく「気持ち」だろう。序盤から安定したラップを刻んでトップを快走したが、同走の土屋も粘り強く食らいついた。疲れの見えだした終盤は徐々に差を詰められ、4600メートルで逆転された。このままずるずると後退してもおかしくない状況で見せたのは第一人者としての意地だった。

 顔をゆがませ必死に足を動かしてペースを上げた。日本記録保持者を揺り動かしたのは「絶対に負けたくない」との一念だけ。最後の1周を31秒05で滑り、直前で32秒02まで落ちたラップを約1秒押し上げて栄冠を勝ち取った。これまで、コーチの「最後は気持ち」という助言に半信半疑だったというが、「長距離はやはり気持ちが大事ということを学んだ」。レースを振り返る言葉に実感がこもった。

 昨季は世界選手権のオールラウンド部門で総合3位に入り、日本男子23年ぶりのメダルを獲得。世界距離別選手権の団体追い抜きでは銀メダルを手にしたチームをけん引するなど、躍進する日本男子中長距離陣の象徴でもあった。

 前日の記者会見では力強く優勝宣言したが、「大口をたたいてしまった」と後悔するほど調子は上がっていなかったという。それでも一晩で一気に持ち直し、大勝負をものにしたあたりは地力が上がった証しだろう。

 今季初戦で得意種目を制覇。北京冬季五輪のプレシーズンとしては幸先の良いスタートだが、「優勝したことで、来年も勝たなければという気合が入った」。先を見据える気鋭の24歳に慢心はない。

男子500・条治17位「苦しいレース」

男子500メートルで17位の加藤条治(博慈会・山形中央高出)(代表撮影)

 ○…男子500メートルで35歳の加藤条治(博慈会・山形中央高出)は17位。最初の100メートルこそ全体4位の9秒69で入ったが、その後は伸びを欠く展開に、「最初のカーブで脚が完全に固まってしまった。かなり苦しいレースだった」と振り返った。

 今季に向け、ショートトラックに活路を求め、改めてカーブの技術を磨き直してきたという。それだけに爆発力を生かし切れず、「大会前の調整がうまくいかず、カーブを回るだけで精いっぱいだった」と残念がった。

 昨季は腰痛と慢性的な疲労で調子が上がらず、今季初戦も納得のレースにはほど遠かった。とはいえ、「疲れがとれて元気な状態で滑れば、まあまあ速いと思う」とベテランの表情に悲壮感はない。「頭を切り替え、今年のうちにちゃんと滑りきることができるように調整していく」。5大会連続の五輪出場を見据え、今後のレースで存在感を示すつもりだ。

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