緊急事態宣言から半年~飲食業の今 戻らぬ客足、広がる影響

2020/10/16 12:12
週末の夜のすずらん街。店舗内をのぞいても、客の姿は少ない。新型コロナの飲食店への影響は今も大きい=9日午後7時すぎ、山形市(画像を一部加工しています)

 新型コロナウイルス感染拡大で大打撃を受けた県内飲食業。4月の緊急事態宣言直後のように「通りから人が消えた」状態からは回復し、各種キャンペーン効果も見えてきたが、半年が経過した今も厳しい状況に変わりはない。特に夜の人出の回復が鈍い。閉店や休業により山形市のJR山形駅前だけで「35~40店が電気を消した状態」と話す関係者もおり、その影響は関連業者にも広がっている。

 山形駅前に居酒屋「酒菜一」を構える山形駅前はながさ通り飲食店組合の酒井貞昭理事長は「把握しているだけで10店強が店を閉めた。週3日しか開けないとか予約営業のみの店もあり、人通り、華やかさは少ない。街の雰囲気は大きく変わった」と語る。加盟店は客足が戻りつつあるが、それでも前年比5割程度に落ち込んだままで低調。団体客の来店はほぼないという。

 さらに、各店はソーシャルディスタンス(社会的距離)を確保するため席数を減らしており、満席でもコロナ前より売り上げは減少。忘年会シーズンも例年のような入り込みは見込めない。県料理飲食業生活衛生同業組合の古山裕喜米沢支部長は「2、3人単位での食事会はぽつぽつ入ってきているが、酒が伴うプランが打撃を受けている。どの店も各種給付金や雇用調整助成金、有利な融資を使い、何とか資金繰りしているが、長引けば廃業せざるを得ない店が増える可能性がある」と話す。新庄駅前「マーケット」の飲食店を束ねる曙町町内会の渡部幸子会長も「先が見えない不安はみんな持っていると思う」と漏らした。

増える廃止届

 帝国データバンク山形支店は「出張者や観光客で潤っていた店は特に厳しい」と分析する。

 県と山形市によると、県内の飲食店数は今年3月末時点で1万2300店。4~6月に275件の廃止届が提出され、前年同期に比べ69件増加した。一方で、同時期の営業許可申請数は202件にとどまり、前年同期比31件減。廃止届提出と同時に業態転換の許可申請を出すケースや申請しても開店しない場合があり、「廃止届イコール閉店数」とは単純計算できないが、苦しい状況がうかがえる。

関連業界にも

 関連業界への影響も大きい。酒販店に酒を卸す武田庄二商店(山形市)の武田和哲社長は「回復してきたとはいえ売り上げは前年に比べ内陸地方で5割、庄内地方で7割にとどまる。酒販店からは悲鳴が上がっている」と話す。県内67社が加盟する県ハイヤー協会によると、最も売り上げが落ち込んだのは前年同期比7割減となった4、5月。底からは抜けたが9月でも4割減少したまま。1月に1004台だった会員企業所有の車両台数は9月末には950台に減った。雇用調整助成金などで何とか耐えているという。代行車や駐車場、関連設備の事業者、食材の納入業者、それを支える生産者も売り上げ減にあえぐ。

 飲食店支援の各種クーポン券や「Go Toキャンペーン」は関連業界も期待を寄せる。しかし「それだけで足りない」と雇用調整助成金の来年1月以降の延長など追加施策を求める声は多い。山形駅前はながさ通り飲食店組合の酒井理事長は「金融機関から借り入れた資金で税金を支払う矛盾した状態も生まれている。対策は急務だ」と続けた。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]