修復完了、「結髪土偶」が立った 山形大付属博物館、来月から一般公開

2020/9/4 12:21
離れ離れだった上半身と左脚が結合された「結髪土偶」=山形市・山形大小白川キャンパス内の付属博物館

 山形大付属博物館(山形市)が所蔵し、縄文時代の晩期に作られたとみられる「結髪(けっぱつ)土偶」。離れ離れになっていた上半身と左脚を結合する修復作業が完了した。当初は上半身のみだったが、左脚と奇跡的に再会し、修復に向けたクラウドファンディング(CF)では予想を上回る支援が集まった。大正末期の発見から約90年を経て、ようやく土偶が立ち上がった。

 3日の同大定例会見の中で、伴雅雄館長と押野美雪学芸員が発表した。結髪土偶は頭部が髪を結ったような形をしている土製人形。縄文時代晩期(約2400~3500年前)に出現している。県内では真室川町釜淵地区の遺跡で出土した全身が残る結髪土偶が国指定重要文化財となっている。同博物館所蔵の土偶は上半身だけだったが、2018年7月、研究者の指摘により、別の場所で保管されていた左脚が同一体のものと分かった。

 修復に向けては、資金確保のため山形新聞社のCF「山形サポート」を活用。19年7月に募集を始めたところ、歴史ロマンが多くの関心を集め、目標金額160万円を大きく上回る269万5千円(166個人・団体)が集まった。同年10月、元興寺文化財研究所(奈良市)で修復が始まった。

「結髪土偶」の背面

 上半身の一部が既に石こうで復元されていたため、これを取り除いた上で左脚部をアクリル樹脂で接合。表面やくぼみに付着していた土もきれいにし、文様や造形の細部も明らかになった。赤色の顔料は蛍光エックス線分析の結果、ベンガラであることも分かった。左脚部を入れた高さは19センチで、幅は16センチ。

 今後、3Dプリンターで右脚も復元した上で、本来の姿となる全身レプリカを作成する。押野学芸員は「脚まで分かる結髪土偶は少ない。今後の土偶研究に役立ててもらいたい」と話した。県文化振興・文化財課では「土偶はもともと土器より少ない。形が分かるように復元できるケースはさらに少なく、貴重な土偶といえる」としている。

 結髪土偶は10月1日から同博物館で一般公開される。新型コロナウイルスの予防対策で現在は臨時休館中で、公開は事前予約制となる。11月には公開講座も開催予定。問い合わせは同館023(628)4930。

【メモ】山形大付属博物館所蔵の結髪土偶は大正末期に寒河江市の石田遺跡から出土し、安達又三郎という大地主が所蔵していた。上半身は郡や県の郷土博物館を経て1944(昭和19)年から同博物館の前身である山形師範学校郷土室に移った。左脚部は大地主がそのまま持っており、後に寒河江市に寄贈された。関連性が示されないまま別々に保管されていたが、郡山女子大短期大学部の会田容弘教授の指摘により、2018年7月に上半身と左脚が再会を果たした。

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