家族の事情で修学旅行断念…葛藤 介護施設勤務、コロナ対策で

2020/9/3 07:45

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 「介護施設に勤めており、息子には修学旅行を断念してもらわなければなりません」。中学3年の息子を持つ山形市の40代男性から「寄り添うぶんちゃん取材班」に、こんな切実な投稿が寄せられた。男性が勤務する法人では指定地域に出掛けたり、指定地域から来た人と接触したりした場合、10~14日間、自宅待機しなければならないという。

 今年は新型コロナウイルスの感染拡大で県中学校総合体育大会など各種行事が相次いで中止になっている。「せめて修学旅行は」と思う人がいる一方、この男性のように家族の都合で修学旅行も断念せざるを得ないケースもあるのではないだろうか。

 男性によると、息子さんの学校は10月前半に、勤務する法人が指定地域とする栃木県方面への修学旅行を計画している。男性は「息子は部活の大会が中止になっている。親の仕事のせいで、またつらい思いをさせてしまうのかと、必死に前を向こうとする子どもには気の毒でならない」と心情を吐露する。同じ法人には中学3年生の親が複数おり、同様に頭を悩ませている。「行かないと欠席になるのか」「受験の調査書に影響するのでは」。さまざまな臆測も飛び交っているという。

 山形新聞には他に山形市の医療従事者の60代男性からも「『子どもを修学旅行にやるのが心配』『家に高齢者がいて家庭内感染が怖い』といった相談が寄せられている。多くの人にこの問題を考えてみてほしい」との意見が届いた。

 山形市教育委員会に対応を聞いた。山形市の中学校では9~10月にかけて行き先を東北6県、北海道の函館周辺、栃木県、新潟県に限定して修学旅行を計画している。予定地域で感染経路不明の感染者が出た場合は再度、可否を協議するなどの基準も設けている。

 不参加の場合について、担当者は「欠席扱いにはならない」と明言。旅行期間中、生徒が登校して自習する際は他の学年の教師が見守ることも検討している。調査書に関しても「参加、不参加で不利益を被ることがあってはならない。全く関係ない」と断言する。

 同市教委には「万一、感染したら受験に影響する」「家族に高齢者がいて心配」などの声が寄せられていたというが、家族の仕事の関係という理由は「うわさでは聞いていたが、実態としては初めて聞いた。本当に心苦しい」と話す。

 コロナ禍の中での旅行という点について担当者は「修学旅行の思い出は子どもたちにとって特別なもの。教育的な価値や意義もある。今年の最終学年はさまざまな行事が中止になっており、厳しい制限の中でも修学旅行だけは何とか行かせてあげたい」と語る。

 一方で「家族の同意を得ながら進めている」とし、各自の事情や考えを最大限尊重する考え。不参加によって、学校に行きにくくなるようなことがないようケアにも努めたいとする。

 修学旅行は大勢が一度に県外に移動することによる感染リスクに加え、生徒や家族、学校関係者、さらには周辺の事情、心情などが絡み合う難しい課題といえそうだ。コロナ禍が突きつける新たな課題の一つとして向き合い方を多くの人に考えてみてほしい。

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