ふるさと山探訪(9) 上山市・三吉山

2020/8/4 21:49
山頂からは上山市や山形市の街並みを一望できる

 上山市街地東側にそびえる三吉山(さんきちやま)(574メートル)は、上山のシンボル的な里山として知られる。市出身の歌人・斎藤茂吉も「をさなくて見しごと峯のとがりをる三吉山は見れども飽かず」の歌を残すなど、昔から多くの人に親しまれてきた。

 晴天に恵まれた4日、三吉(みよし)神社のある山頂を目指した。セミや鳥の鳴き声を聞きながら木々の間に転がる大きな岩に感心し、無数の岩石が山を覆う「岩海」に驚いた。山頂では上山市や山形市の街並みを眺め、社殿と石仏に新型コロナウイルスの収束を願った。変化し続ける山の表情を満喫して約1時間。日常を忘れることができた。

 蔵王連峰の山裾から西にせり出した三吉山は、上山市内のさまざまな場所から確認できる。「街中心部から見ると穏やかな山容だが、北の金瓶方面からは山頂が鋭く際立つ姿が特徴的」。ガイドを務めてくれた三吉山の自然を守る会事務局長の木村和郎さん(77)=上山市金生西2丁目=が教えてくれた。

 4日午前8時58分に出発し、さまざまな植物や生物に出合った。「これはつまようじなどに使われるクロモジ」、セミの鳴き声には「ニイニイゼミだな」。木村さんのミニ解説が楽しい。「この日のために待っていてくれたのかな」。見頃を終えたはずのクルマユリが一輪咲いていた。木々の間に転がる巨大な岩に木村さんは「三吉山は岩山。それが実感できる」。水場で一休みすると心なしか空気がひんやりし、ほてった体に心地良かった。

 入山から約40分、「さあ、そろそろ岩海だ」。木村さんの言葉とともに視界が一気に開けた。山肌を覆う数十センチの無数の岩石が広がる。氷河期の名残とされる不思議な光景で、その先には上山の市街地を望むことができた。

 午前10時、山頂へ到着した。三吉神社は江戸時代の1837(天保8)年の建立。天保の飢饉(ききん)で疫病が流行した際、住民らが太平山(秋田)にある三吉神社に祈願し収まったのを機に、分霊を山頂に祭ったという由来がある。いみじくも世界中が新型コロナウイルスに苦しむ現在。社殿と39体の石仏に手を合わせ、一日も早い収束を願った。

 ◆三吉山(さんきちやま) 登山道は上山市が推進するクアオルト健康ウオーキングの認定コースにもなっている。5月ごろに山頂付近で見られるシンエイザクラは、三吉山にのみ自生するといわれる希産種。登山口の金生熊野神社周辺ではニッコウキスゲが咲き誇り、春から秋にかけてさまざまな植物を楽しむことができる。

記事・写真などの無断転載を禁じます

関連写真

写真・画像の無断転載を禁じます。
[PR]

県内ニュース最新一覧

[PR]