県内ニュース

「丸八やたら漬」135年の歴史に幕 山形の老舗漬物店

2020年05月31日 20:22
最後の営業を終えた老舗漬物店「丸八やたら漬」。新関芳則社長(左から5人目)が詰め掛けた顧客、市民に感謝の思いを伝えた=山形市旅篭町2丁目
 山形市旅篭町2丁目の老舗漬物店「丸八やたら漬」(新関芳則社長)が31日、閉店し、135年の歴史に幕を閉じた。同日夕、最後の営業を終え、社員らが市民に感謝の思いを伝えた。
[動画付き記事 動画はコチラ]

 丸八やたら漬は1885(明治18)年創業で、看板商品やたら漬や漬物ずしなどで知られた名店。店舗や「食事処(どころ) 香味庵(こうみあん)」の蔵は国有形文化財に登録され、山形国際ドキュメンタリー映画祭の社交場「香味庵クラブ」としても親しまれた。廃業は漬物の販売額減少を主因に、新型コロナウイルス感染拡大による観光客の激減が判断を早めた。土地はマンション事業者に売却されており、店舗、座敷蔵2棟は取り壊される可能性が高い。会社組織は6月末をめどに清算する。

 最終日は開店直後から客足が絶えず、「残念だが長い間お疲れさま」「ありがとう」と買い物客らが声を掛ける場面もあった。みこし渡御の休憩所として使わせてもらってきたという里之宮湯殿山神社のみこし会「神幸(みゆき)会」のメンバーも多数来店。同会の芳賀晴之助さん(74)は「まちの顔だった店だけに寂しいし、悔しい。百貨店の大沼もそうだが、次々と個店がなくなる前に何とか施策を打たなければならなかったのではないか」と漏らした。

 午後5時、従業員がそろって店舗前に立ち、新関社長が謝意を伝えて頭を下げると、詰め掛けた市民らから大きな拍手と花束が贈られた。廃業の報道後、多くの来店者があったといい、新関社長は「代々いかに皆さんに愛していただいたのかを痛感した。支えてくださった皆さんに心から感謝する」と話した。

香味庵の記録、映像に刻む
市民有志が香味庵を記録に残そうと映画製作に取り組んでいる。営業最終日の様子も映像に記録した=山形市旅篭町2丁目
 31日で閉店となった老舗漬物店「丸八やたら漬」を記録に残そうと、市民有志らが映画製作に取り組んでいる。山形の蔵文化や食文化を守り伝え、山形国際ドキュメンタリー映画祭の交流拠点としても親しまれた場の姿を通して、まちの歴史や変わりゆく文化の記憶を映像に刻む。

 製作を企画、発案したのは山形市の歯科医師里見優(まさる)さん(63)。現在代表を務める市民団体「山形ビューティフルコミッション」の一員として、長く映画祭の社交場「香味庵クラブ」の運営に関わってきた。「ここは山形のいろいろな歴史が詰め込まれた場所。建物が今後どうなるか分からないが、そこにいた人や言葉も含めて、記録を残すことが文化を残すことにつながる」と里見さんは話す。

 映像作家の佐藤広一さん(42)=天童市=らが協力し、廃業が明らかになって以降、漬物工場や国登録有形文化財になっている建物の様子、新関芳則社長のインタビューなどを撮影してきた。今後、建物の行く末も追いながら撮影を続け、香味庵クラブの映像なども盛り込みながら、来年の映画祭までには完成させる予定という。
おすすめニュース

文字サイズ変更
  • 小
  • 中
  • 大

県内8市発行メールマガジン登録無料

ふるさとだより

毎週木、金曜日配信中!

ニュース特集

スポーツ

教育・子育て

おでかけ

暮らし情報

twitter発信中

山形新聞からお知らせ

  1. 【2020年8大事業】
     山形新聞、山形放送の2020年の8大事業が決まりました。詳しくは、こちらから
  2. 【やましん公式FB】
     山形新聞社は、インターネット交流サイト「フェイスブック(FB)」の公式ページを新設しました。
     公式ページでは山形新聞のニュースのほか、本社からのお知らせなどを中心に紹介します。
     アドレスは、こちらから
  3. 【やましんe聞で動画視聴】
     読者限定の電子版「やましんe聞」で動画を閲覧できる新サービスを始めました。詳しくは、こちらから。
  4. ◆中学、高校の各種スポーツ大会の記録を紹介。検索機能も備えています。アクセス方法はこちら
  5. ◆探したい記事がきっと見つかる、山形新聞記事データベース。他社DB横断検索が便利な日経テレコンジー・サーチファクティバ
  6. ◆県外でも今日の朝刊が朝一で読める「お届け電子版
  7. ◆ニュース速報、高校野球、モンテ情報… 身近な情報を携帯で確認「モバイルやましん
  8. ◆故郷の話題をメールでお届け、ふるさとメール会員募集(登録無料)
山形新聞から
販売から